TISインテックグループのTISは5月23日、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)との協業により、スマートビルディングにおけるロボット活用の高度化に成功したことを明らかにした。複数メーカーのロボットとビル設備を連携してロボットの稼働領域を拡張したほか、自律的なエレベーター乗降も実現している。

NTT Comの「Smart Data Platform for City」(以下、SDPF for City)は、ビルや施設の空調、照明、カメラ、エレベーターなどばらばらに管理していたデータを同一の基盤に統合し、各設備が連携して動作できるようにするためのプラットフォーム。

近年は建設業や自治体などからロボットとビル設備の連携を要望する声があり、NTT Comはロボット制御の技術開発に取り組んできたという。しかし、複数メーカーのロボットとビル設備を連携するためには、各社が提供する独自のロボット制御のネットワークと「SDPF for City」をつなぐための個別のシステム開発が必要だった。また、すべてのロボットの動きを把握して衝突を避けるといったメーカーの壁を超えた高度な制御技術も必要とされていた。

そこで、NTT Comは「SDPF for City」の機能強化を図ることを目的として、マルチロボットを制御できるプラットフォーム「RoboticBase」を手掛けるTISとの連携を開始したとのことだ。同プラットフォームでは、サービスロボット同士が効率的に連携して業務を分担可能。また、カメラやIoTデバイスとのデータ連携により、ロボットの稼働状況のモニタリングなど付加サービスも提供可能だという。

NTT Comの「CROSS LAB for Smart City」(東京都 港区)内で複数メーカーのロボットを稼働させて実証実験を実施したところ、データを確実にやり取りするためのAPI(Application Programming Interface)開発にも成功し、十分なサービス品質で相互接続が可能であるとする技術的な裏付けが得られたとしている。

実証実験の結果を受けて、運搬ロボットや清掃ロボットの自律走行によるエレベーター乗降、および、セキュリティドアの通過を可能にする仕組みが3月にオープンした東京ミッドタウン八重洲での採用が決まったとのことだ。