米Qualcommが韓国公正取引委員会(公取委)の課徴金処分の取り消しを求めた裁判で韓国の最高裁判所(最高裁)は4月13日、上告を棄却したと多数の韓国メディアが報じている。これによりQualccommの独占禁止法違反が確定。課徴金として1兆311億ウォン(約1000億円)を支払うこととなる。韓国の同法違反の課徴金としては過去最大規模の額となる模様である。

韓国公取委は、Qualcommがスマートフォン(スマホ)向けの通信用モデム技術の特許を巡ってSamsung ElectronicsやLG Electronicsなどに不当に高いライセンス料を支払わせたことが「優越的地位の乱用にあたる」とし、課徴金処分を行っていた。これに対し、Qualcommは、課徴金処分の取り消しを求めて提訴し、ソウル高裁は2019年12月に「不当に競争を制限する支配的地位の乱用が認められる」としてQualcomm側の訴えの大部分を棄却。こうした内容を不当として上告したQualcommのみならず、一部の判断を認められなかった公取委も上告をしており、最高裁で争っていた。

今回の最高裁のQualcommからの上告棄却については、「Qualcommは競合モデムチップセットメーカーおよび携帯電話メーカーの事業活動を困難にすることで市場競争を制限する恐れがある」と判断するとともに、「Qualcomm側の内部文書に記されている競争制限の意図、異例の事業方式などまで考慮すれば、Qualcommはモデムチップセット市場で競争メーカーを排除し、自分たちの市場支配的地位を維持・強化することが目的だった」と判決文で述べられている。

なお韓国公取委はこの判決に対し、「Qualcommが独占的地位を維持・拡張するために反競争的事業構造を構築したことが違法であることを明らかにした判決」とし、今後、判決趣旨を反映し、是正命令に対する履行点検を徹底させていく方針を明らかにした。

なお、Qualcommのチップセットの一部は、Samsung Electronicsのファウンドリ部門に製造委託されているほか、今回の裁判に対し、IntelならびにMediaTekが韓国公取委側の参考人として出廷していたという。