IDC Japanは3月30日、国内産業用ネットワーク機器市場予測を発表した。これによると、2022年の同市場は高成長を遂げた2021年に続き、対前年比23.9%と高い成長を達成した。

  • 国内産業用ネットワーク機器市場の売上額予測 出典: IDC Japan

企業がデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進しデジタル・ファースト企業に向かう中で、その基盤としてのOT(Operational Technology)ネットワーク構築に対して旺盛な投資が続いているという。

産業分野別では、市場の中心を占める組立製造およびプロセス製造のいずれも力強い成長を続け、市場を牽引した。DXの初手としてのデジタル化を進めるにあたりネットワーク基盤構築を推し進めているといい、2022年の前年比成長率はいずれも20%を超えている。

2020年から2022年にかけて起こった社会的・経済的な大きな変化に影響を受けた国内産業用ネットワーク機器市場だが、市場を通底するDX/デジタル・ファースト化が、2023年以降も第1の市場促進要因として機能すると同社はみる。

大きな成長を遂げた2021年~2022年と比べるとやや落ち着いた成長に移行するものの、2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR)は市場全体で5.7%と同社は予測している。

製品分野別では、2022年までの市場トレンドである産業用ネットワークにおけるITネットワークへの接近と無線化が、同社は2023年以降はさらに強まると見る。

産業用無線機器の2022年~2027年のCAGRは25.8%と、市場全体を大きく上回る成長を同社は予測している。一方で、ワイヤレス・ファーストの進展を見据えながらも、産業用ネットワークにおける有線ネットワークの高い信頼性は揺らがないと同社は考えている。

産業用イーサネット・スイッチは、2027年時点でも市場全体の80%近くを占め、産業用ネットワーク機器市場を引き続き支えていくという。国内産業用ネットワーク機器市場の中心を占める製造業においては、経済安全保障の観点や円安の継続によって、製造拠点の国内回帰が進むことも考えられるとのことだ。