台湾政府の経済部(日本の経済産業省に相当)は、2月23日(米国時間)に米カリフォルニア州サンノゼにて「米国における台湾経済部の技術部門の成果と新規事業の調印」に関する記者会見を開催し、 Lam ResearchならびにCadence Design Systemsが台湾に総額30億NTドルの新規研究開発投資を行うと発表した。

台湾と米国の間の革新的な研究開発協力を深めるために、台湾政府経済部技術局の担当者が両社を訪問し、今回の台湾への追加投資を取り付けたという。

  • Lam Research本社での会談の様子

    Lam Research本社での会談の様子 (出所:台湾政府経済部)

  • Cadence本社での会談の様子

    Cadence本社での会談の様子 (出所:台湾政府経済部)

LamはR&Dセンター、CadenceはITRIとチップレットの設計研究所を設置へ

今回の投資では、Lam Researchは、台湾にR&Dセンターを設立し、台湾における高度なプロセス技術サービスを強化することを目指すとしており、それにより台湾の装置サプライチェーンの規模を深化させ、2nmプロセス量産化の実現を加速するという。

一方のCadenceは、40年近くにわたって台湾の半導体産業の成長に貢献してきた実績を基に、台湾工業技術研究院(ITRI)と共同研究所を設立し、チップレットの設計に投資するという。米国本社の研究計画に沿って、台湾の業界関係者に利益をもたらす設計ツールの研究開発を行うという。

経済部技術局の邱秋匯局長は「台湾の半導体製造事業は世界のサプライチェーンで重要な役割を果たしている。今回は、協力の深化に加えて、2つの主要な米国企業とのさらなる研究開発協力を取り付けた。こうした取り組みにより、台湾の産業および研究部門が米国の研究プロジェクトと連携したり、新たなシステム開発に参加したりするのを支援することもできるようになる」と成果を強調している。

Lamは2022年秋にも台南にオフィスを開設

Lam Researchは2022年秋に、今回の投資に先行して台南に新オフィスを開設。同地の顧客に対するサービスの強化体制を整えたという。台南はTSMCがFab 18にて、3nmプロセス(N3)の量産を開始したほか、増産に向けたファブの拡張も進められている。

Lamの新オフィスは、1996年に新竹に設置された「Lam Research台湾技術訓練センター」を補完する台湾7番目のオフィスで、最先端のVR機器を備えた研修施設を設置することで、最新のプラズマエッチングおよびCVDやALDなどの薄膜堆積技術に関する研修コースを提供することで、製造装置やプロセスエンジニアが、関連する技術的能力と専門知識を身に着けることができるとしている。

また、日本の東京エレクトロン(TEL)も台南にサービス拠点「東京エレクトロン台南オペレーションセンター」(地上6階建て、延床面積は3万5000m2)の建設に2022年11月末に着手。2024年末の完成を予定している。同センターは1000人の従業員を収容し、台南地域での迅速なサポートやトラブル対応のほか、顧客企業のエンジニア教育や訓練ニーズに応えたり、リペアパーツや一部の装置の製造も行うことになっている。 

TELは、TSMCの本社がある新竹に「東京エレクトロン 台湾」の本社を置き、顧客企業と共に先端プロセス開発を進めてきたが、台北、台中、台南にもサービス・サポート拠点を有しているが、今回のTSMCのFab 18でのN3量産に併せて台南のサービス拠点を強化し、より顧客との密接な協業体制を構築することを目指している模様である。