TSMCは2月3日、将来のIC設計者育成と学術的なイノベーションへの貢献を目的とした「TSMC University FinFET Program」を発表した。

同プログラムは、アジアや欧米のサービスパートナーと協力して、大学生、教職員、学術研究者に、同社の16nm FinFET(N16)に基づいたチュートリアルの設計事例、トレーニング資料、教育ビデオを含むプロセス設計キット(PDK)への幅広い教育アクセスを提供し、学術分野の半導体設計を従来のプレーナーFETからFinFETへとステップアップすることを目指したものだという。

また、大学の主要なIC研究者に対しては、マルチプロジェクトウエハ(MPW)サービスを通じて、N16および7nm(N7)プロセスへのアクセスを提供し、ロジック、アナログ、RFなどの研究革新の加速を支援するともしている。MPWサービスは、1枚のウェハ上に複数顧客が設計したそれぞれのチップ回路パターンを形成するシャトルサービスのことで、TSMCでは「CyberShuttle」と呼んでいる。

TSMCの事業開発担当シニアバイスプレジデントであるKevin Zhang氏は、「同プログラムを通じて16nm/7nm技術を提供することで、研究者や学生が夢をチップ上で実現するためのアイデアを探求し、刺激的で急速に成長している半導体分野に対する好奇心と情熱を刺激するという新たな分野を開拓する」と述べている。

世界中の大学に同プログラムを提供することで、半導体設計に興味を持つ学生を世界規模で増やすとともに、大学研究者向けの少量生産も提供することで、アカデミアでのTSMCの好感度を上げ、長期的な売上伸長を目指す作戦のようである。

SEMIが半導体業界向けオンライン教育プラットフォームを提供

SEMIは2月7日(米国時間)、世界の半導体業界の人材不足解消に向けて、業界各社の従業員の教育とスキルアップ、ならびに新入社員のキャリア確立を支援するオンライン研修プラットフォーム「SEMI University」を発表した。

同プラットフォームは、業界向けに作成された360以上のコースで構成され、採用されたばかりのオペレータから経験豊かなエンジニア、非技術系社員に至るまで幅広い社員が利用できるオンライン研修を提供するという。

具体的には、前工程/後工程の製造オペレーション、チップ設計の原理、職場の安全について研修などを提供するとしているほか、人工知能(AI)、MEMS、オプトエレクトロニクスなど最新技術に対応するための研修も用意。オンラインの利点として、学習者がコースの途中で一時停止できる機能なども備えているという。対応言語は、英語のほか、日本語など、さまざまなものが提供され、今後もさらなる拡充が予定されているという。

SEMIのプレジデント兼CEOであるAjit Manocha氏は、「半導体産業は10年後には市場規模が1兆ドルに達すると予想されているが、この成長を支えるためには2030年までに世界で90万人以上の新たな人材が必要になると考えている。SEMIの会員企業にとって、人材育成は長期的な成長を追求する上で最大の課題である。SEMI Universityは、そうした会員各社のさまざまな社員教育を支援するものであり、将来的にはより広範なエレクトロニクスサプライチェーンのニーズへの対応に向け、研修コンテンツに関するパートナーシップ拡大を進めていく」と述べている。