2nmプロセスの開発・製造には日欧米連携と人材教育強化が必要

小池淳義氏(前ウエスタンデジタルジャパン社長、前米国Western Digital SVP、当日投影されたスライドには肩書なしの個人名のみ記載)は、「将来の半導体製造: 微細化の課題に適応するインテリジェントなファブ システムとスマートな製造装置」と題する講演を行った。

  • ITF Japan 2022にて講演する小池淳義氏

    ITF Japan 2022にて講演する小池淳義氏。世界から10年遅れてしまった日本の半導体。2nmプロセスを日本で開発し、安全に生産するには日米欧の提携を強める必要性と、半導体人材育成制度も見直す必要性を訴えた

同氏は、「私たちはすでに、毎日継続的にスマートなデバイスやセンサーから大量のデータが生成されるエキサイティングな時代に生きている。インテリジェンスがよりユビキタスになり、広く接続されるようになる一方で、私たちは究極のエネルギー効率でこの豊富なデータを利用することにも挑戦している。さらに、人類がCOVID-19のパンデミックを経験したことで、世界はネクストノーマルに向けた大きなパラダイムシフトに直面している」と世の中の動きを分析。半導体については、熊本のJASMが稼働しても日本のロジック半導体は世界から10年遅れてしまっていることを指摘したうえで、膨大な技術的課題があるがサブナノメートルクラスのスケーリングを追求し、粗利率と付加価値値の大きなデバイスを日本で開発し製造する重要性を強調。

その実現に向けては、日米に限らず欧州との連携を強める必要もあり、インテリジェントなファブやスマート製造装置を用いて従来の半導体製造を変革し、枚葉フローショップ方式で製造のスピードを速める提案を行ったほか、人材育成も強化することが必要であることも強調した。

東大もimecと半導体研究で戦略的提携へ

このほか、東京大学(東大)の黒田忠弘教授の講演では、東大のd.lab(システムデザイン研究センター)とRaaS(先端システム技術研究組合)は、imecと強固な戦略的提携を結び、共通の興味ある分野を見つけて協業することを目標にしていると宣言しており、日本のさまざまな角度からimecとの連携強化が進められている姿が見受けられた。

  • 東大の黒田忠弘 教授

    東大の黒田忠弘 教授(右)とimecのLuc Van den hove社長(左)の握手。東大とimecで強固な戦略的提携を目指した協議を進めていくとしている