2022年5月23日の米国バイデン大統領と日本の岸田首相との日米首脳会談を踏まえ、同日外務省より「自由で開かれた国際秩序の強化」と題する日米首脳競争声明が発表された。長文の声明の中で半導体というキーワードが出てきたのは以下の1か所だけである。

「両首脳は、日米両国が、輸出管理の活用を通じたものを含め、重要技術を保護し、及び育成し、それぞれの競争優位を支援し、並びにサプライチェーンの強靱性を確保するために協力していくことを確認した。両首脳は、日米商務・産業パートナーシップ(JUCIP)において採択された「半導体協力基本原則」に基づき、次世代半導体の開発を検討するための共同タスクフォースを設立することで一致した」(外務省の共同声明の和訳文原文ママ)

また、この日米共同声明の付帯文書として発行された「日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップファクトシート」にも1か所だけ「半導体」が出ている。

サプライチェーン強靭性の項目における「日米両国は、志を同じくするパートナーと共に、以下の分野で協力する意図を有する」という文言に付随した以下の文章である。

  • 半導体製造能力、多様化、次世代半導体の研究開発、供給不足への対応
  • 先進蓄電池のサプライチェーンに関する情報共有と協力
  • 途中の鉱物の精錬過程を含め、安定的で強靱な重要鉱物サプライチェーン構築に向けた協力

JUCIPや半導体協力基本原則とはいったい何か?

日米首脳共同声明に唐突に出てきたJUCIPというのは、いったい何だろうか。これは、2021年11月15日に、萩生田経済産業大臣が、来日したレモンド米国商務長官と東京で会談を行った際に日米両国の産業競争力強化のために設立することに合意された日米関係者による会議体である。JUCIPにおいて採択された「半導体協力基本原則」とは、渡米した萩生田大臣が2022年5月4日に米国商務省でレモンド商務長官と会談した際に2国間の半導体サプライチェーンの協力を行うことで合意した事柄である。

具体的には、

  1. オープンな市場、透明性、自由貿易を基本とし
  2. 日米および同志国・地域でサプライチェーン強靱性を強化するという目的を共有し、
  3. 双方に認め合い、補完し合う形で行う

というもので、萩生田経産大臣とレモンド商務長官は、特に半導体製造能力の強化・多様化、労働力開発の促進、透明性向上、半導体不足に対する緊急時対応の協調および研究開発協力の強化について、同志国・地域と共に、二国間で協力していくことの重要性を強調した。我々は、この原則に基づき、今後も共同の取組を進めていく(経済産業省一般公開文書による)という内容である。