ASMLが10月19日に発表した2022年第3四半期(7-9月期)の売上高は前年同期比10.2%増、前四半期比6.4%の57億7800万ユーロで、同社の事前ガイダンスや証券アナリストの予想平均を上回る結果となった。また、純利益は前年同期比2.2%減の17億100万ユーロとなったが、受注額は四半期ベースで過去最高額となる89億2000万ユーロとなり、生産能力を上回る需要が続いているとしている。
同社は、顧客からの要請でEUV露光装置の納入を推進することを目的に、最終検査の一部を行わずに出荷していることから、客先での最終検査と検収が先送りされ、結果として顧客からの入金が遅れているとしている。
同四半期の売り上げを用途別で見ると、ロジック向けが68%、メモリ向け32%となっているほか、地域別で見ると台湾47%、韓国24%、中国15%で、米国は5%、日本は4%。EUV露光装置の売上高は全体の51%を占めており、その出荷台数は、第2四半期と同じ12台であったとする。
受注好調で第四半期も売上増加が期待
同社は、2022年第4半期(10~12月期)の売上高として第3四半期を上回る61億~66億ユーロを見込むとしているほか、2022年通期売上高については前年比13%増の211億ユーロとなるとの見込みを示している。
同社のPeter Wennink最高経営責任者(CEO)は、「ASMLの露光装置需要は引き続き旺盛であり、第3四半期の受注額は過去最高を更新することとなった 顧客が足元の景気減速やスマートフォン・PCなどの最終製品需要低迷、半導体メモリ市場の軟化などがあるが、より長期的な生産能力の拡大を重視して露光装置への投資を加速させている」と受注額が増加している背景を読み解く。現在、EUV露光装置を利用している顧客のすべてが次世代の高NA EUV露光装置の予約も行っているという。
また同氏は、米国の新たな対中半導体製造装置輸出規制について、「私たちの露光装置には、米国製部品をほとんど使っていないので、ASMLがオランダから出荷する露光装置に対する輸出規則に変更はなく、今のところ大きな影響を予想していない。そのため、2023年の出荷計画への直接的な影響は限定的だと予想している」と述べている。