日立製作所とソフトバンクは9月30日、製造現場のDXを推進するサービスの提供に向けて協業を開始したと発表した。製造現場における作業員の動作や生産設備の稼働データなどの4Mデータを収集・蓄積・分析して生産状況を可視化する「製造現場可視化サービス」を、2023年度内を目処に提供開始する。
両社は各製造現場のニーズや課題に合わせて柔軟に導入できるサービスの提供に向けて、2021年からサービス構成や提供方法について検討を進めてきたという。
基本的なサービス構成などが定まったことから、製造現場のさらなるDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進を目的に、5G(第5世代移動通信システム)やIoT、AI(人工知能)、マルチ・クラウドなどを使用する新サービスの提供に向けて、協業を開始したとのこと。
同サービスにより生産ロスの要因を速やかに特定可能にすることで、製造現場における生産性の向上を支援するとしている。同サービスでは、現場に設置したエッジ・カメラやIoTセンサーによって4M(人、機械、材料、方法)データを収集し、クラウド上に蓄積して分析することで、リアルタイムに生産状況を可視化できるという。
製品ごとに製造工程が異なるため、サービス導入では何のデータをどのような手法で取得するかという課題があるとしながらも、日立が培ってきた自社の製造DXのノウハウを生かし、各製造現場に最適な4Mデータの収集方法を提供するとしている。
また、両社が持つITとOT(制御・運用技術)に関するノウハウなどを生かし、DXの計画立案に向けた各製造現場のニーズや課題の整理から、課題解決の手法や技術の検討、最適な形態でのサービスの導入までを、ワンストップでサポートするという。
さらにソフトバンクは、法人向けの5Gマネージド・サービスである「プライベート5G」などのネットワーク・サービスや、各種クラウド・サービスを使用して、4Mデータを蓄積するためのネットワーク・インフラ基盤を構築する。国内外に複数の工場を持つ企業も、各工場の生産状況を柔軟かつセキュアな環境で確認可能としている。
同サービスは、まず試験導入する製造業のユーザー企業を募集し、検証を行った上で、2023年度内を目処にソフトバンクが提供開始する予定だ。
両社は今後、ソフトバンクが持つ5GやAI、IoT、クラウドなどの知見と、日立が持つITやOT、プロダクトの実績・ノウハウやLumadaソリューションを掛け合わせることで、サービスのラインアップを拡充し、製造業のDX推進を加速させていくという。