業績好調なMEMSファウンドリ

また、年々MEMSファウンドリの存在感が増しているともYoleは指摘している。MEMSファウンドリによる売上高は2020年には5億7000万ドル、2021年は6億9000万ドルと拡大。数年前まではトップのMEMSファウンドリの売上高は6000万ドルに届かない規模であったことを考えると、急激に存在感を増していることがうかがえる。Yoleによると現在、多くの企業がMEMSファウンドリへのアウトソーシングを模索しているとのことで、今後、存在感を増していきそうだという。MEMSファウンドリとしては、Silex Microsystems、Teledyne MEMS、TSMCの3社がトップ30にランクインしている(MEMSファウンドリとして5位にソニー(正しくはソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの鹿児島テクノロジーセンター)が入っているが、2020年には3位であったものの、売り上げが伸びず2021年にはTSMCとXFABに抜かれてしまった)。

加えて、MEMSデバイスの需要拡大を受けてBoschをはじめ、SilTerra、Silan Microelectronics、FormFactor などが新ファブへの投資を実施しているが、製造装置の納期は15か月を超えるものも出ているという話で、他社のMEMS事業を買収することも選択肢の1つとなる可能性があるとのことで、Yoleのアナリストは、Silexによる Elmosの200mmウェハライン買収ならびにミツミによるオムロンのMEMS事業買収は注目される動きとしている。

  • MEMSファウンドリ売上高ランキングトップ15

    MEMSファウンドリ売上高ランキングトップ15 (出所:Yole Group)

今後のMEMS市場を動かす3つの力

なおYoleでは、2022年以降のMEMS市場について、以下の3つの力によって動かされるとの予測を示している。

  • MEMSに対する強い需要:一部のMEMSファウンドリのスケジュールは2023年末まですでに埋まっている。
  • MEMSのマージン減少:現在のミクロ経済的およびマクロ経済的状況による生産コスト上昇により、平均販売価格を挙げざるを得ない状況にある。
  • 流通におけるMEMSを含む半導体チップの過剰在庫:2023年以降、MEMSサプライヤの活動低下につながる可能性がある。