半導体市場動向調査会社である仏Yole Groupは、2021年のMEMS市場が前年比17%増の136億ドルとなったこと、ならびに2027年まで年平均成長率(CAGR)9%で成長し、223億ドル規模に達するとの予測を発表した。

MEMSの適用アプリケーションとしては、市場の大きさ順にコンシューマ向け、車載、産業、医療、航空・防衛、テレコム向けとなっており、2021年のMEMS市場は、センサのコンシューマ機器ならびに車載機器の採用拡大と医療・産業機器および関連アプリケーションでの新規採用に加えて、慣性および圧力MEMSを中心とした一部のデバイスの平均販売価格が供給不足から値上がりしたことも、売上高の増加に寄与したという。

また、2027年になっても適用アプリケーションの市場規模順位に変動はないとYoleでは見ており、最大市場のコンシューマ向けは、2021年の75億ドルからCAGR9%で伸び、2027年には123億ドルに成長すると予測している。

  • 2021年(実績)および2027年(予測)のMEMS市場売上高の応用分野別内訳

    2021年(実績)および2027年(予測)のMEMS市場売上高の応用分野別内訳 (出所:Yole Group)

最大市場のコンシューマ向けアプリの主流はウエアラブル分野だが、Yoleでは当該分野に対する3つの大きな波を指摘している。1つ目は2015年。フィットネスバンドなど腕に巻くウエアラブルが主流であったのが、Apple Watchの登場で5000万台規模となった。2つ目は2021年で、スマートウオッチに加え、ワイヤレスイヤホンの普及により5億台に到達。そして2027年にはAR/VRに代表されるメタバースの普及で10億台に達するとYole Groupでは予測している

  • コンシューマ向けMEMS市場におけるウエアラブル分野の3つの波

    コンシューマ向けMEMS市場におけるウエアラブル分野の3つの波 (出所:Yole Group)

MEMS売上高トップ30に日本勢は3社のみ

2021年のMEMS売上高トップは前年から引き続き独Robert Boschで、2位Broadcom、3位Qorvo、4位STMicroelectronicsまでの順位に変動はない。BoschのStefan Hartung会長は、「MEMS市場におけるリーダーの地位を確立するため、300mmウェハでMEMSセンサを2026年から製造することも計画している」と述べており、Boschは将来的に圧倒的な物量でMEMS業界のトップを独走する可能性がある。

日本勢は売上高トップ30の中には3社(6位にTDK、16位にキヤノン、18位に村田製作所)。2016年~2018年にかけて日本勢は10社ほどがランクインしていたが、2019年には8社に、2020年には7社へと減少。2021年には3社のみとなってしまった。ただし、TDKについては順位を上げており、売上高も6億ドル近くまで伸ばしていることは注目に値する。

  • MEMSサプライヤ売上高ランキングトップ30

    MEMSサプライヤ売上高ランキングトップ30(ファウンドリ専業および兼業の売上高も含む) (出所:Yole Group)