Googleは2022年8月16日にAndroid OSの最新版となる「Android 13」をリリースし、同社製のスマートフォン「Pixelシリーズ」向けに配信を開始した。Android 13ではさまざまな新機能が追加されているが、その一つにプライバシーの強化がある。このアップデートの影響で、クリップボードの内容をPCと動機することができるタイプのアプリが正常に機能しなくなると、Android Policeが8月17日、「Android 13 breaks automatic clipboard syncing, and Google won't fix it」において伝えた。
Google Playストアで公開されているアプリには、Android端末とPCとの間でクリップボードやSMS、通知の内容をシームレスに共有できる機能を提供するものがある。その代表的な例としては「Join」や「Tasker」などが挙げられる。この機能は、開発者向けにデバッグ用として提供されているadb(Android Debug Bridge)コマンドを組み合わせてログファイルからクリップボードの内容を取得するという、裏技のような方法で実現されている。
Android 13では、クリップボードに関するプライバシー保護機能が強化されている。この変更の影響によって、Joinなどのアプリで使われているログファイルにアクセスする方法が使えなくなっているという。Android 13で同様の処理を実施しようとすると、ログへのアクセス許可を求めるプロンプトが表示される。しかも、これはアプリが前面に起動されている場合にしか動作しない。したがって、これまでのようにバックグラウンドで自動的にクリップボードを同期するようなことはできない。
Googleがadbコマンドを利用してバックグラウンドでログにアクセスする方法を禁止しているのは、セキュリティ保護のための意図通りの動作と見なしているからだという。したがって、従来の方法が再び許可されることはなさそうだ。Android Policeは、この変更がJoinやTaskerなどのアプリだけでなく、デバッグツールを使用するアプリ開発者のワークフローにも影響を与える可能性があると指摘している。
Android Policeでは、これまで通りにクリップボードの同期を行うことができる回避策として、Shizukuと呼ばれるツールを使ってJoinなどのアプリに昇格されたアクセス許可を与える方法も紹介している。ただし、これはサードパーティのアプリに管理者(root)権限を与える禁じ手であるため、一般的なユーザーにお勧めできる方法ではない点には注意が必要である。