東京大学 生産技術研究所(東大生研)は7月4日、皮膚に貼るだけで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体(IgMおよびIgG)の検出を行える、「多孔質マイクロニードル」と「イムノクロマトアッセイ」を組み合わせた、新しいパッチ型抗体検出デバイス「PMNIA(Porous MicroNeedle and ImmunoAssay)」を開発したことを発表した。

同成果は、東大 生産技術研究所(東大生研)の金範埈教授、東大大学院 工学系研究科 精密工学専攻の鮑蕾蕾大学院生らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

新型コロナワクチンは感染リスクとウイルス伝播の低減に有効ではあるものの、多くの低所得国で、予防接種を完了した人口の割合は依然として10%未満にとどまっており、感染予防のための課題とされている。

そうした中、検出時間短縮を目的に、イムノクロマトアッセイによる抗SARS-CoV-2免疫グロブリンM(IgM)および同G(IgG)の抗体迅速診断法が開発されている。新型コロナに特異的な抗体は、無症状感染者だけでなく、濃厚接触者からも検出できるため、RT-PCR検査を補うものとしても抗体検査は有用だという。

しかし、検査のためにランセットや注射針による採血が必要であり痛みを伴うほか、針による感染の危険性があるといった問題もあることから、専門家が不要で、低侵襲(無痛)・簡便・迅速な新型コロナウイルス感染症に対する新たなスクリーニング手法が求められていた。