半導体産業の生産能力を専門に調査している米Knometa Researchによると、イメージセンサの2021年末時点での世界の月間生産能力は100万枚(200mmウェハ換算)に達したという。

また、2022年の月産能力は前年比13%増の113万枚となると予測されるほか、2026年まで年平均成長率12.5%で成長を続け、2026年末には月産180万枚に達するとも予想しており、当該市場は半導体の中でも高い成長率を示すカテゴリの1つであると同社では指摘している。

  • 世界のイメージセンサ生産能力の推移

    世界のイメージセンサ生産能力の推移(200mmウェハ換算)。2020年および2021年は実績、2022年以降は予測 (出所:Knometa Research)

新型コロナウィルスが引き起こしたパンデミックは、2020年にイメージセンサ市場に悪影響を及ぼしたが、2021年に回復した。デジタル画像の需要は、携帯電話、自動車、マシンビジョン、セキュリティカメラ、ウェブカメラ、ドローンなど、ほぼすべての分野で増加傾向となった。

2021年のイメージセンサ生産能力の地域・国別内訳はKnometa Researchによると、最大シェアを有する企業はソニーで、最大のCMOSイメージセンサ供給企業でもあるが、Samsung ElectronicsとSK Hynixの2社の生産能力を合わせると、地域・国別では韓国が最大の生産能力を有していることになるという。

  • 2021年イメージセンサ生産能力の地域・国別内訳

    2021年イメージセンサ生産能力の地域・国別内訳 (出所:Knometa Research)

なお、Knometaでは、主要イメージセンサメーカーの現状などを以下のように分析している。

ソニー

ソニーは300mmファブをロジックからイメージセンサへと生産転換し、ICの製造から撤退する日本の他社の300mmファブを買収することで、生産能力の拡大を進めてきた。すでに日本の4つのサイトに8つの300mmファブラインを持っており、最新は長崎のFab 5となる。そのFab 5は2021年より量産を開始し、拡張工事も進行中である。

Samsung

SamsungがCMOSイメージセンサ事業に参入したのは事業の多角化のためで、その製造技術やツールセットはDRAMのものと類似しているため、古いDRAMファブの活用が可能であることを武器に生産量を拡大。現在は、スマートフォン(スマホ)事業のカメラモジュールのさまざまなニーズに対応することで、シェア2位の立場を確保している。現在、同社のイメージセンサの生産は、韓国の華城の300mmファブが主軸となっている。

SK Hynix

Samsung同様、古いDRAMファブを転換する戦略を採用しているSK Hynix。ソニーやSamsungと異なり、社内あるいはグループ内にスマホ部門がないため、すべて外販しており、Samsungのスマホの一部にも採用されるようになっている。

OmniVision

業界3番手のOmniVision(本社は米国だが中国資本)は、イメージセンサウェハの製造は外部ファウンドリ、主にTSMCならびに中国のSMIC、HLMCを活用している。