Samsung Electronicsが提供するファウンドリサービスにおける製造受託料金を今年後半から15~20%上げる方向で顧客と協議しており、一部の顧客とは合意に達していると、米国ならびに韓国の複数のメディアが一斉に報じている。

Samsungの顧客からの情報によると、先端プロセス品で15%、レガシープロセス品で20%と古いプロセスほど値上げ幅が大きいという。ちなみにSamsungは、顧客との契約にかかわることにはコメントをしない方針であり、この件に関してノーコメントとしてしている。

韓国の半導体業界関係者によると、値上げの最大の理由は、原材料価格の上昇だという。シリコンウェハの世界シェア1位の信越半導体は2021年に20%ほど価格を引き上げたが、2022年もウェハ価格を10%ほど引き上げたという。

シリコンウェハの価格上昇のは池には、ウェハの原材料であるポリシリコンの価格上昇があるとされるが、ウェハ以外の半導体メーカーが半導体を製造するのに必要な化学薬品、ガス、設備、建設資材まで幅広く平均2~3割価格が上昇しているという。ガソリン価格の急騰でロジスティックスコストも値上がりしており、半導体製造工程に必要な希ガス(ネオン・クリプトン)価格もロシアのウクライナ侵攻以後急騰している。また、半導体メーカーは各社ともに、ロシアによるウクライナ侵攻、中国での都市封鎖措置、米中貿易紛争、金利の上昇、インフレなど、複数のマクロリスクに直面しており、利益を上げるためにはそうした上昇分を価格に転嫁せざるを得ない状況となっている。

なおTSMCも、2021年にマチュアプロセスを最大20%、先端プロセスについても7〜10%ほどの値上げを実施したとされているほか、2023年1月からマチュアプロセスについてはさらに8%の値上げ、先端プロセスについては5%の値上げを顧客に通知したとも噂されており、今後、こうしたTSMCやSamsungに続き、多くのファウンドリが値上げに動く可能性が高いと思われる。