実装に当たっては、キャリアボードに相当する部分だけを新規に開発し、SOMの部分はそのまま流用できるために開発期間が短縮できる(Photo09)としている。

  • 開発を9か月短縮することができる

    Photo09:何と比べて9か月短縮できるのかが明示されていないが、おそらくはSOMを使わずにチップをそのまま実装する場合と比較して、ということだろう

今回のKRSで提供されるのはこの図(Photo10)の赤い部分である。といってもハードウェアはキャリアボードが異なっているだけで、SOMはKria K26なので、差別化部分はStarter Kitで提供されるソフトウェアということになる。

  • ROS 2は最新のHumble Hawksbillに対応という話

    Photo10:ROS 2は最新のHumble Hawksbillに対応という話だが、現行のGalactic Geochelone/Foxy Fitzroyへの対応は現在確認中。2022年5月18日追記:AMDによればHumble Hawksbillを“recommendation”との事

具体的にKRSを利用すると何が便利になるのか? というと、Workspaceベースで記述できることと、Graphベースの開発が可能な事だ(Photo11)。

  • 迅速な開発の背景

    Photo11:GraphについてはKRSでGraphを利用するExampleもすでに示されており、これを利用して迅速な開発が可能になるとされる

ちなみにGraphというかKRSを使わない場合の生産性はJetsonと大して変わらないという話(Photo12)で、迅速な開発の一助になるとされる。

  • VitisはKRSからマクロ経由で呼んだ方が早く開発できる

    Photo12:Vitisを直接呼ぶより、KRSからマクロ経由で呼んだ方が早く開発できるというのは面白い

またApp StoreにもKRS向けのアプリケーションが提供予定であり(Photo13)、これらを併用する事でさらに開発を効率化できるとする。

  • 現状はXilinx提供のTSNとPerception Node、10GbE Cameraのみ

    Photo13:現状はXilinx提供のTSNとPerception Node、10GbE Cameraのみで、他のベンダーのものはまだ提供時期は未定

性能という意味でも競合製品より高い性能/消費電力比と低いレイテンシを実現できる(Photo14)とする。

  • KRSベースだと2.5Hz/Wの実施が可能

    Photo14:左はPerceptionの処理性能で、KRSベースだと2.5Hz/Wの実施が可能という訳だ。またレイテンシは60ms程度とされる

キャリアボードの構成はこんな感じ(Photo15)で、Vision AI向けよりやや構成はリッチになっている。KRS自体は349ドルで、すでにAMDおよび代理店経由で入手可能となっている(Photo16)。

  • Pmod I/Fが4つ用意されているのが特徴的

    Photo15:開発ボードということで、Pmod I/Fが4つ用意されているのが特徴的。またIndustrial Ethernetも2ポート用意されており、システムがTSNベースでなくても実時間連動を取りやすくなっている

  • Vision AI Kitよりもやや高め

    Photo16:やはり周辺機器が増えている分、Vision AI Kitよりもややお高めである