日本労働組合総連合会(連合)は4月28日、新卒採用における入社前後のトラブルの実態を把握することを目的に、大学卒業後に新卒で正社員として就職した全国の入社2年目~5年目の男女1,000名を対象に行った「入社前後のトラブルに関する調査2022」の結果を発表した。この調査は、2016年の調査に続き2回目となる。

まず、全回答者に「卒業後に最初に就職した会社を選んだ理由」については、「無期雇用(正社員)である」が33.9%で最も多く、次いで、「業務内容(商品など)に興味があった」「やりがいのある仕事だ」がどちらも20%となったという。

  • 卒業後に最初に就職した会社を選んだ理由 引用:連合「入社前後のトラブルに関する調査2022」

また、「福利厚生が充実している」や「年間休日が多い、取りやすい」、「プライベートの時間を作りやすい」、「転勤がない」といったワークライフバランス関連の理由もトップ10入りしている。

男女別で大きな差が出たのは「転勤がない」という理由で、男性が7.8%だったのに対し、女性は16.2%と倍以上の票を獲得しているという。

「卒業後に最初に就職した会社における問題」を聞いたところ、「時間外労働(残業)が恒常的である」と「仕事に見合わない低賃金である」がどちらも約30%と高くなっている。これに、「精神的に不調になり辞める人が多い」、「有給休暇が取得できない人が多い」、「賃金不払い残業(サービス残業)がある」という回答が続いている。

2016年の調査結果と比較すると、「時間外労働(残業)が恒常的である」が46.0%から29.2%まで下降したほか、「有給休暇が取得できない人が多い」、「賃金不払い残業(サービス残業)がある」も下降するという結果になっているという。

この結果について、連合は働き方改革や労働基準法遵守が一定程度進んだことを要因に挙げつつも、有給休暇の未取得やサービス残業といった問題がまだ存在していることへの課題感を示している。

「卒業後に最初に就職した会社で、現在も働いているか」という問いに対しては、「最初の会社で働き続けている(育児休業中・休職中を含む)」が66.8%と最多となった一方、「離職した(半年以内)」は7.7%、「離職した(半年を超え、1年以内)」は6.2%、「離職した(1年を超え、2年以内)」は10.4%、「離職した(2年を超え、3年以内)」は5.2%、「離職した(3年を超えてから)」は3.7%となり、合計の離職率は33.2%となった。

その離職の原因は、「仕事が自分に合わない」が40.1%で最も多く、次いで、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」、「賃金の条件がよくなかった」、「会社の将来性がない」となっている。

  • 卒業後に最初に就職した会社を辞めた理由 引用:連合「入社前後のトラブルに関する調査2022」