Sansanは4月21日、同社が提供するクラウド契約業務サービス「Contract One」を通じて実施した「企業の契約業務に関する実態調査」の結果を発表した。これによると、電子契約の普及が進みつつある現在でも紙での締結が根強く、そのため脱ハンコが難しいという実態が浮かび上がった。

  • 契約書の形式・フォーマット 出典:Sansan

同調査は、契約書に関連する業務に携わる全国のビジネスパーソン1078人を対象として2022年3月にオンラインにて実施したもの。

勤務先で取り扱う契約書の形式・フォーマットを尋ねると、「紙での締結」が80.8%に上った。また、取引先から「紙でないと契約を締結できない」と指定されたことがあるとの回答が全体の60.6%に上り、自社の意向だけでは電子化が難しいのが実態だ。

  • 物理的な印鑑での押印作業を無くすことができない理由 出典:Sansan

契約業務で「現在も物理的な印鑑での押印作業がある」との回答は全体の90.4%を占め、さらにその中の32.4%は「今後も押印作業をなくすことはできない」と考えている。その理由では「取引先から紙での契約書締結を求められるから」が56.6%と最多で、法的な課題よりも周辺事情の影響が大きい。

  • 押印作業の所要時間 出典:Sansan

押印に関連する作業にどの程度時間がかかっているかを検証したところ、1件あたり平均31分を要しているという。押印が必要な契約業務が月平均20件あることから、1人あたりの月間所要時間は約10時間になると同社は推計している。

  • 押印作業に関する非効率な規則や慣習 出典:Sansan

現在も物理的な印鑑での押印作業がある回答者の67.9%が、「押印作業に、経営者・役員、役職者の業務時間が取られてしまっている」と回答している。同社は、押印作業は現場の社員に加えて役職者の業務時間も圧迫していると指摘している。

また、「上司のスケジュールに合わせて出社しなければいけない」「押印をもらうために遠くの事業所や本社まで行く」「複数の役職者に決められた順番で押印をもらう必要がある」といった、押印作業に関する非効率な規則や慣習があるとの回答も多かったという。

  • 押印代行サービスの検討状況 出典:Sansan

さらに、現在も物理的な印鑑での押印作業がある回答者の60.8%が「押印をアシスタントや部下に代行してもらったことがある」と回答しており、企業内では押印代行がよく行われている。その一方で、「押印代行サービス」については半数近くの48.8%が「導入を検討したことはない」と回答している。