ソニーグループおよびスタイレム瀧定大阪は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「第2回宇宙生活/地上生活に共通する課題を解決する生活用品アイデア募集」に共同提案を行い、ソニーが開発したもみがら由来の多孔質カーボン素材「トリポーラス」を使用した提案が国際宇宙ステーション(ISS)への搭載を目指す生活用品アイデアの1つとして選定されたことを3月28日に発表した。
今回選定されたアイデアは「Triporous:Space QOL Series」と題され、トリポーラスを繊維に応用し、その特長である消臭・抗菌効果を持つリラクシングウェア、インナーウェア、タオル、ポーチを開発するというものだ。洗濯や入浴などが長期間不可能など、制約のある宇宙空間での生活におけるQOL(生活の質)向上に寄与することが期待されるという。
トリポーラスは、ソニーが開発した世界中で年間約1億トン以上排出されている米のもみがらから作った多孔質カーボン素材で、特許を取得した独特の微細構造により、水や空気の浄化など幅広い応用が期待されており、原料に余剰バイオマスを活用することで、環境に配慮した循環型社会の実現および、焼却廃棄により発生する大気汚染物質や温室効果ガスの低減にも貢献できるとしている。
ソニーはこれまでトリポーラスのライセンスを繊維・アパレル、スキンケアなどさまざまな商品へ展開することで、人々のQOLの向上に取り組んできており、今回、宇宙旅行者向けの生活用品の提供が持続的なビジネスになるような将来を目指し、宇宙と地上双方の生活課題の解決に役立てられる製品・サービス創出を促進したいというJAXAの取組みに共感し、トリポーラスのライセンスを受けているスタイレムと共同で同プログラムに応募したという。
今後、ソニーとスタイレムは、アイデアのブラッシュアップ、宇宙飛行士によるプロトタイプ確認などを経ながらトリポーラスを繊維に応用した衣類や生活用品を開発し、安全性といった制約条件をクリアして、2023年以降のISSへの搭載を目指していくとしている。