ファウンドリ大手の台湾UMCは2月24日、シンガポールにある既存の300mmファブ(Fab 12i)の隣接地に新たな300mmファブ(ファブ12i P3)を建設することを発表した。総投資額は50億ドルで、採用プロセスは22/28nm、2024年後半に初期生産能力3万枚/月で生産を開始するとしている。このFab 12iの拡張ために、同社は2022年の設備投資予算を36億ドルに上方修正した。
5G、IoT、車載向け22/28nmプロセスは供給契約済み
新ファブは、2024年以降、複数年にわたる供給契約をすでに主要顧客と締結済みで、5G、IoT、および車載向けを中心に22/28nmプロセス製品の生産過剰になる心配はないと同社では説明している。
すでに同社はシンガポールにて20年以上にわたってファウンドリを運営してきており、現在はSpecialty Technology(汎用品以外の特殊プロセス)向けR&Dセンターの役割も担っているという。組み込み高電圧、組み込み不揮発性メモリ、RF-SOI、ミクスドシグナルCMOSなどを中心とした特殊プロセス製品は、スマートフォン、スマートホーム、電気製品、自動車など、幅広いアプリケーションにとって重要になってきており、新ファブがそうした特殊プロセスに対して増大する市場ニーズを受け止める役割を果たし、世界的な22/28nmプロセスに対するファウンドリの生産能力不足を緩和するのに役立つとしている。
UMCの会長であるStan Hung氏は、「シンガポールの新ファブが稼働すると、顧客と協力して多数の新しいR&Dプロジェクトが生産に入る予定である。この投資は、主要な顧客との共有ビジョンと緊密なコラボレーションにより可能になった」と述べている。
なお、現在、22/28nmプロセスに対応するUMCのファブは台湾のFab 12と中国のFab 12Xだけ。シンガポールのFab 12iは0.13μm~40nmプロセスに対応しており、生産能力は4万5000枚/月(300mmウェハ)であるが、今回の投資により22nmまで対応プロセスの範囲が広がることとなる。