ドリーム・アーツは11月25日、従業員数1000人以上のユーザー企業に所属するITシステム決裁者1000人を対象にした、ベンダー依存に関する調査結果を発表した。これによると、外部のITベンダーに頼ることが自社にプラスだと考えている企業が57.1%に上ったほか、65%の企業がITベンダーに「すべてお任せで進められるので、仕事が楽だ」と思っていることがわかった。

  • ベンダー依存は自社にプラスか否か 資料:ドリーム・アーツ

  • ベンダーに頼るメリット(複数回答) 資料:ドリーム・アーツ

同調査は同社が10月28日から29日にかけて、従業員数1000人以上のユーザー企業に所属する予算執行者、IT意思決定権者、IT選定に助言・意見を言える立場の人を対象としてインターネット調査により実施したものであり、有効回答者数は1000人。

勤務先企業がベンダーに頼ることはプラスかと尋ねると、「そう思う」と「どちらかというとそう思う」が計57%を占め、ベンダー頼りを肯定的に捉えているようだ。そのメリットとして最多だった回答は「専門分野を超えてベンダーのアドバイスを受けられる」(56.2%)であり、これに「自社でIT人材を獲得・育成しなくても良い」が40.1%で続いている。また、「多くを内製化することは現実的に不可能」とあきらめている回答が14.2%あった。

  • ベンダーとの付き合いによる利益(複数回答) 資料:ドリーム・アーツ

ITの利用傾向とベンダー企業への依存度の観点から回答者の勤務先を6つの群に分けたところ、ベンダーとの付き合いによる利益では、長期間にわたり同一ベンダーと付き合っている「ズブズブ群」と、同群ほどではないが業務を丸投げする傾向が強い「凖ズブズブ群」では、「基本的にすべてお任せで仕事を進められるので、仕事が楽だ」との回答が他の群より多い。

また、「トラブルの責任をかぶってくれた」という回答は、システム内製化率を向上させている「内製群」では26%だったのに対して、ズブズブ群では57%に達した。

ベンダーの選定基準を尋ねると、「世界的に有名なベンダーと契約すれば安心だ」と考えている割合が内製群およびデジタルの民主化(現場部門自らによるデジタル化の推進)を進めている「デジ民群」ではそれぞれ39%にとどまる一方で、ズブズブ群では90%、準ズブズブ群では69%に上り、ベンダー依存度が高いほどネームバリューでベンダーを選んでいる傾向が見られる。

主要ベンダーの変更の現状を見ると、「変えるという発想をしたことがない」が全体の11.3%、「変えたいと思ったことはない」が32.5%、「変えたいと思ったことはあるが、変えたことはない」が35.9%と、ベンダーを変更したことがない企業が合わせて8割に上り、全体的にベンダーへの依存が高い傾向がある。

  • 現場部門のデジタル化推進をどう思うか 資料:ドリーム・アーツ

  • DX推進度別のデジタルの民主化賛成度 資料:ドリーム・アーツ

「デジタルの民主化についてどう思うか」という質問に対しては、「良いと思う」が37%、「どちらかと言えば良いと思う」が27%と、6割以上が賛成している。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進度別に見ると、自社がDXによる新規事業の創出に取り組んでいるという回答者の52%がデジタルの民主化推進を良いと思うと回答しており、難解なDXに取り組んでいる企業ほど賛成する傾向が強いことがわかった。