放送、通信、音響機器など音に関する製品の開発、製造を行うTOAは清水建設と共同で、オフィス空間で交わされる会話が周囲に拡散するのを抑制する音環境制御システム「オトノカサ」を開発したことを発表した。

音環境制御システム「オトノカサ」(同社資料より)

音環境制御システム「オトノカサ」(同社資料より)

「オトノカサ」は、スペース上方に設置した放物面状の天井(カサ)に取り付けた特殊スピーカーからマイクで集めた会話音声を天井側に放射。スピーカーから放出され音声は天井で反射し下方へそのまま放出される。これにより傘の下では、小さい音声でも十分に相手側に音が届き、話者が無意識に音声を低下させ、周囲への音の拡散を最小限に抑える。開発は、清水建設がシステム構成やハウリング対策の考案、TOAがマイクとスピーカーの組合せや出力設定を担当している。実証実験では設置したカサの下とカサの端から1mの距離での音圧レベルは約10dB差が生じることを確認、物理的な音エネルギーで約1/10に抑えることに成功している。同技術は、すでに会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi」において試験導入され良好な結果を得られたという。現在、ビジネスの様々なシチュエーションでコミュニケーションの重要性が唱えられる一方で、オフィスで発生する騒音が集中の必要な職務を妨げ、生産性を低下させているとして問題となってきた。同システムがこの課題解決へのアプローチの一つとなることが期待される。
  • 「オトノカサ」のシステム解説画像(同社資料より)

    「オトノカサ」のシステム解説画像(同社資料より)