東京スカイツリータウン(東京都墨田区)にて7月15日、「2030年の未来社会」を体験できるという「Society 5.0科学博」が開幕した。同展には、約50の企業・大学・団体が参加。宇宙、海洋、モビリティ、医療、製造、農業、防災、エネルギーなど幅広い分野の科学技術が200点以上展示される。メイン展示の期間は7月28日まで。
Society 5.0とは?
「Society 5.0」というのは、政府の「第5期科学技術基本計画」(2016~2020年度)にて提唱された言葉で、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」のことだという。
狩猟社会(1.0)、農耕社会(2.0)、工業社会(3.0)、情報社会(4.0)に続く、新たな社会がSociety 5.0。ロボット、AI、IoT、ビッグデータといった先端技術を取り入れることで実現するとしており、これらに関連する科学技術や研究成果を集めたのがSociety 5.0科学博というわけだ。
同展は、東京スカイツリータウンの1階、4階、天望回廊を会場として使用。5つのステージで構成され、科学技術の面白さや大切さを発信するという。開幕前日の14日にはプレス向け内覧会が開催されたので、ここで展示内容を簡単に紹介しよう。
ステージ1:Society 5.0のはじまり(1階 ソラマチひろば)
展示会の入り口となるのがステージ1。この屋外エリアの目玉は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の有人潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型だ。1989年の完成なので、すでに30年モノの機体ではあるが、2012年には大規模な改修を終え、まだ現役として活躍している。そのほか、自動運転のトラクターなども展示されていた。
ステージ2:科学技術のフロンティア(1階 団体フロア)
ステージ2では、宇宙と海洋に注目した大型展示を実施。このエリアの目玉は、何と言っても宇宙航空研究開発機構(JAXA)のブースにて、小惑星探査機「はやぶさ2」の再突入カプセルが展示されていることだろう。一般への公開は、相模原市立博物館、国立科学博物館に続き、これが3回目となる。
残念ながら、今回から前面ヒートシールドのみレプリカとなるものの、それ以外の機器については、実際に帰還した本物だ。そのほか、はやぶさ2の実物大模型(たけとよモデル)も展示されており、今回が初出展というローバー「MINERVA-II」の模型も見ることができた。
ステージ3:Society 5.0の未来像(4階 スカイアリーナ)
4階の屋外には、特設パビリオンを用意。社会的課題の解決に繋がると期待されるさまざまな科学技術が紹介されていた。空飛ぶクルマ、災害対応ロボットなど目立つ展示のほか、要素技術も数多く出展されているので、1つ1つ見ていくと結構時間がかかる。じっくりと楽しむと良いだろう。
ステージ4:Society 5.0シアター(千葉工業大学 東京スカイツリータウンキャンパス)
300インチのシアターを使用し、JAXAやJAMSTECの各種コンテンツを上映する。期間中には、JAXA大西卓哉宇宙飛行士によるオンライン講演のライブ配信なども行われる予定だ。
ステージ5:Society 5.0への軌跡(天望回廊)
メイン展示は以上となるが、東京スカイツリーの天望回廊ではサブ展示を実施。地上450mの絶景を楽しみながら、Society 1.0から4.0までの歴史を振り返り、未来社会Society 5.0への道筋を見ることができる。このサブ展示は期間が9月5日までと長いが、入場には別途チケットの購入が必要となるので注意。
企業展示(1階)
また1階には、企業展示のコーナーも設けられる。こちらは7月19日までと期間が短いので注意して欲しい。
自宅で楽しめるサイバー展示も
Society 5.0科学博は、内閣府(科学技術・イノベーション推進事務局)とJAMSTECが共同主催。入場料は無料(※天望回廊以外)で、各展示の期間は以下の通りだ。なおPCやスマートフォンから、バーチャルに展示物を見ることができるサイバー展示も行われる。コロナ禍で会場に行くのが難しいときは、こちらを利用すると良いだろう。
- メイン展示(東京スカイツリータウン1F/4F):7月15日(木)~7月28日(水)
- サブ展示(天望回廊):7月15日(木)~9月5日(日)
- サイバー展示:7月17日(土)~9月5日(日)
- 企業展示(東京スカイツリータウン1F):7月15日(木)~7月19日(月)