ソフトバンクとAIメディカルサービスは3月26日、内視鏡検査の映像を5G(第5世代移動通信システム)で伝送して、AI(人工知能)で画像診断補助を行う実証実験を、2021年3月3~4日に実施したと発表した。

同実証実験では、内視鏡専門医による伝送映像の比較を実施。まず内視鏡の装置とモニターを通信ネットワークでつなぎ、あらかじめ撮影した内視鏡検査の映像を5G/4G経由でモニターに伝送する。そして画質やスムーズさ、病変(病気による生体の変化)の確認可否についてそれぞれ目視で確認して、通常の内視鏡検査時と比較した。

その結果、画質やスムーズさについては、通常の内視鏡検査時と比較して、4Gでは映像の乱れがあったが、5Gではほぼ遜色がなかったという。病変の確認可否についても、4Gでは映像の乱れの影響により小さな病変を確認できなかったが、5Gでは微細な血管やポリープなども鮮明で確認しやすかったとしている。

  • 左:伝送された内視鏡検査の映像を確認する様子 右:AI画像判定システムの画面

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また、同実証実験ではAI画像判定システムによる疾病確率の比較も実施。まず内視鏡検査の映像から画像を切り出して、直接AI画像判定システムで読み込み、それと同時に、同じ映像を5G/4Gで伝送した上で画像を切り出し、それぞれAI画像判定システムで読み込む。それぞれの場合において、AI画像判定システムで疾患有無の確率を算出し比較する。

その結果、内視鏡から直接画像を読み込んだ場合と比較して、5G/4Gを経由した場合ではほぼ同等の正しい数値を算出したとしている。

両社は同実証実験により、遠隔診断補助システムを実現する上で、5GおよびAI画像判定システムの有用性を確認。今後も、5GおよびAIを活用した遠隔診断補助システムの開発を共同で進める方針だ。