市場動向調査会社の富士キメラ総研はPCや通信インフラ分野の半導体需要の高まりにより好調な半導体実装関連の世界市場を調査し、その結果を「2020年エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」にまとめて発表した。

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響によりスマートフォンやデジタルカメラ、複写機/複合機、自動車の市場が大きく落ち込む一方で、ステイホームやテレワークの普及によりPCやタブレット端末、ゲーム機、Wi-Fiルーターなどの市場は好調だった。PCや通信インフラ関連分野の好調によりSoCやメモリーなどの半導体需要が増加し、それに紐づく実装関連市場も拡大している。特にFC-BGA基板関連材料が好調で、今後の需要増加に向けた大型設備投資も進んでいる。

  • 半導体パッケージング関連市場

    半導体パッケージング関連市場の予測 (出所:キメラ総研)

その結果、2020年の半導体パッケージ関連材料市場は、前年比4.5%増の8722億円と見込まれるという。特にFC-BGA基板やFC-CSP基板の伸びが高いほか、今後もIoT化の進展により半導体の需要は増加し、市場拡大が続くとみられるとしており、同市場は2026年に1兆1846億円に達すると予測している。

ただし2020年のプリント配線板市場は、基地局やサーバーといった通信インフラやPC向けは好調であるものの、新型コロナウイルス感染症の影響による3~4月の生産停止や、自動車やスマートフォン市場の落ち込みなどにより縮小する品目がみられ、微減の見込みである。

また、2020年の熱対策材料市場は、シンタリングペースト(加圧タイプ)や低放熱フィラー(アルミナ)など伸びている品目もみられるが、主な用途先である自動車市場の縮小により横ばいの見込みである。今後はEV、HVの需要増加やSiCデバイス、高性能CPU採用などに伴う高放熱ニーズの高まりから、市場は拡大するとみられる。特にEVやHVのPCU向けパワーモジュールやリチウムイオン二次電池向けの需要増加が期待され、2026年には2019年比2.5倍が予測される。

このほか、2020年の実装関連装置(マウンタ、フリップチップボンダ、モールディング装置、露光装置、レーザー加工機)市場は、半導体パッケージ基板やモジュール基板向けの投資が好調であり、微増が見込まれる。今後も大型投資がしばらく続き、2023年までは堅調に市場拡大するとみられる。