レッドハットはこのほど、コンテナプラットフォーム「Red Hat OpenShift」の国内販売戦略および新製品に関する発表会を開催した。初めに、製品統括・事業戦略 担当本部長の岡下浩明氏がコンテナ事業の戦略を紹介した。
岡下氏は、企業がデジタルトランスフォーメーションを推進するにあたり、オープンでインテリジェントなプラットフォームが求められているが、そのプラットフォームはプライベートクラウド、パブリッククラウド、エッジが一体となっており、データとアプリケーションが場所や基盤を選ばすリアルタイムで連携している必要があると語った。
こうしたデジタルプラットフォームの実現に向け、同社は「オープンハイブリッドクラウド戦略」を掲げている。同戦略は「ハイブリッドクラウド基盤」「クラウドネイティブ開発」「自動化と管理」という技術的な要素と「人材育成・組織文化・プロセスの変革」から構成されている。
今回、「オープンハイブリッドクラウド戦略」を加速させるため、コンテナ、エッジ、マネージドサービスという3つの観点から製品とサービスをアップデートしたという。
そして、岡下氏は「コロナ禍においては、レジリエンス(回復力)を支えるプラットフォームによって、データ駆動型のビジネス変革を支援していくことが重要」と述べた。具体的には、顧客エンゲージメントの向上、5Gとエッジ、既存のシステムのクラウドネイティブ化に取り組んでいく。あわせて、日本の企業が後手に回っているデジタルトランスフォーメーションに必要な人材育成、組織文化の変革、プロセス改善を支援していく。
「Red Hat OpenShift 4.6」の新機能については、テクニカルセールス本部 クラウドソリューションアーキテクト部 OpenShiftアーキテクトの北山晋吾氏が説明した。「Red Hat OpenShift 4.6」の特徴は大きく「エンタープライズレベルの信頼性維持」「エッジでのワークロードに対応」「開発者体験の向上」にまとめることができるという。
「エンタープライズレベルの信頼性維持」を実現する具体的な策として、「延長アップデートサポート(EUS: Extended Update Support)」「AWS GovCloud」「Microsoft Azure Government」への対応が行われた。
OpenShift 4.6におけるEUSの内容は、「フルサポートフェーズの終了日から14カ月間(約18カ月のサポート期間)」「EUSサポート期間中に後続のEUSリリース予定」「1年間隔程度でのアップグレード計画が可能」「RHEL 8.2のEUSと連携」となっている。
また、エッジでのワークロードに対応するため、エッジに特化した構成として、「リモート Worker Nodes」の提供を開始した。リモート Worker Nodeを備えたクラスタは、オンプレミスのMaster NodeとWorker Node間の接続待ち時間を長くし、ネットワーク接続が断続的に失われることを考慮している。なお、OpenShift 4.5から、リソースに制約がある環境での利用を踏まえ、3ノードクラスタのサポートが追加されている。
さらに、開発者の新機能としては、OpenShift Serverless 1.11からEventingがGAになったほか、Knativeで利用可能なイベントソースをリストから選択することで、イベント駆動型アプリケーションを実装可能になった。
加えて、これまで、QuarkusはRedHat RuntimesサブスクリプションでサポートされていたKubernetesネイティブなJavaスタック「Quarkus」がOpenShiftサブスクリプションに統合された。これにより、開発者は使い慣れたツールやCodeReadyWorkspaceなどのIDEを介してクラスタ上でリモート開発を行うことが可能になった。
そのほか、北村氏はマネージドサービス「Managed OpenShift」のアップデート内容についても説明した。まず、「Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetes 2.1」の提供が始まった。同サービスは、マルチクラスタとアプリケーションのライフサイクル、ポリシーを管理することができる。
マネージドサービスの価格も改定されている。価格は平均して75%下がっている一方、SLAは99.95%に改善しているという。