日本オラクルは8月17日、Oracle Cloud VMware Solutionの提供を開始すると発表した。これは、オンプレミスで稼働しているVMware vSphereのワークロードをオラクルのOracle Cloud Infrastructure(OCI)に移行し、クラウドネイティブなVMwareソリューション環境を実現するもの。東京および大阪の国内のリージョンをはじめとする全世界の商用リージョンと、2020年7月から提供を開始した「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」のクラウドインスタンスで提供する。

  • 「Oracle Cloud VMware Solution」の概要

  • 全世界の商用リージョンと「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」のクラウドインスタンスで提供される

Oracle Cloud VMware Solution は、2019年9月に、米サンフランシスコで開催された年次イベント「Oracle OpenWorld 2019」で、ラリー・エリソン会長兼CTOが基調講演で発表し、注目を集めていた。

VMwareソリューションをOracle Cloudで利用可能に

Oracle Cloud VMware Solutionは、データセンター内のオンプレミス環境と同等の体験をクラウドで提供し、オラクルの自律型データベースであるOracle Autonomous Databaseをはじめとする第2世代のクラウドインフラストラクチャとシームレスな統合を実現。vSphereのバージョンやセキュリティツール、自動化サービスなどをコントロールするとともに、自社テナンシーの実現により、VMwareソリューション環境へのアクセスと制御が可能となる。

数1000に及ぶVMware Ready アプリケーションやツールといったよる検証済みのVMwareソリューションも利用可能であり、オンプレミスのvSphere上で稼働している既存のオラクルのアプリケーションやデータベースを、Oracle Cloud VMware Solutionに移行して、クラウドならではの拡張性と経済的メリットを享受できる。

  • 「Oracle Cloud VMware Solution」の構成

日本オラクル テクノロジー事業戦略統括 ビジネス推進本部の佐藤裕之本部長は、「Oracle Cloud VMware Solutionでは、オンプレミスで稼働中のエンタープライズアプリケーションをクラウド上でそのまま実行できるほか、オンプレミスとクラウドの両方で同じアプリが動作できる」と説明する。

「オンプレミスでVMwareを稼働させている企業の中には、クラウドファーストの方向性を打ち出しているケースが増加している。また、VMwareをオンプレミスで活用しながら、ハイブリッド環境で運用したいというケースも多い。さらに、本場環境はオンプレミスだが、テスト環境はクラウドで構築したいというニーズもある。こうしたニーズへの対応したい」(佐藤氏)

オラクルは、vSphereのバージョン6.5および6.7をサポート。vSphere、vCenter、ESXi、vSAN、NSXを含めた、オンプレミスで使用している既存ソフトウェアやスキルセット、ツールを活用できるため、トレーニングが不要である点もメリットだとした。

また、佐藤氏は「Oracle Cloud VMware Solutionは、オンプレミスと同様の操作性を重視して開発しており、クラウド上に移行しても、設計変更が不要であり、管理性が異なるといったこともがない。また、オンプレミスで稼働させるよりも、インフラ管理コストを低減できること、オラクルが得意とするデータベース環境を生かすなど、さまざまなクラウドサービスとシームレスに連携ができるという特徴がある」とも説明する。さらには、迅速なリフト&シフトの実現、データセンターの廃止、オンデマンドでのキャパシティの追加などのメリットもあるという。

オンプレミスと同様の操作性の実現では、顧客専有のVMware環境をクラウド上で提供。他のユーザーだけではなく、オラクル自らもアクセスが不可能な高い分離性とセキュリティを実現。オンプレミスで使用している様々なサードパティの管理ツールが使用可能であるほか、パッチやアップデートも顧客の任意のタイミングで実施可能といったように、オンプレミスと同様の環境を実現した。

インフラ管理コストの削減という点では、Oracle Cloudのコンソールによって、VMware環境のプロビジョニングを可能にしているほか、わずか数時間でVMware環境をデプロイでき、ESXiホストの追加や削除といったVMware環境の拡張や縮小もコンソールから操作できるようにした。

「Oracle Cloud VMware Solutionを利用することで、これまでと同様に、業界標準の VMwareのツールを使用して、環境をアップグレードしたり、パッチやチューニングを行ったりしながら、OCI上で、主要なVMware Cloud Foundation機能セットのプロビジョニングや導入が行えるようになり、本番環境で重要なワークロードを実行できるようになる」としている。

そして、クラウドサービスとのシームレスな連携では、VMware環境を顧客の仮想クラウドネットワーク内に配置する一方、データベースなどのクラウドサービスと、Oracle Cloud Infrastructureを、低遅延および高速なネットワークで接続。Oracle Databaseなどの様々なクラウドサービスを利用できるようにする。また、仮想クラウドネットワーク(VCN)は、顧客自身で制御が可能なため、顧客の要件に応じた柔軟なネットワークセキュリティの設定を可能にしているという。

  • 「Oracle Cloud VMware Solution」のアーキテクチャ

なお、VMwareに関するテナンシー全体に対するワンストップサポートをオンラクが提供するという。