日本マイクロソフトは7月15日、現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の環境下における新しい学習環境の整備を支援するためとして、1人1台の学習者用端末の導入とキッティングのコストと工数を大きく軽減したという無償の端末展開支援サービスである「GIGAスクールWindows PC導入展開パック」を、Microsoft 365 Education GIGA Promo(GIGA Promo)及びGIGAスクール対応PCを導入されるユーザーを対象に、パートナー企業と連携して提供すると発表した。

  • 「GIGAスクールWindows PC導入展開パック」

国内では、緊急事態宣言時に多くの児童・生徒・学生が自宅などでのリモート学習を余儀なくされた。現在、新しい学習様式を目指す文部科学省は、そのための環境整備として「GIGA スクール構想」を加速させ、1人1台学習者用端末の出荷・導入を、令和2年度(2020年度)の単年度への繰り上げを発表している。

一方、各自治体の学校における端末の導入においては、1台1台のデバイスの供給とマスターイメージ作成・イメージ展開・管理用サーバーの構築といった従来のキッティング手法における導入工数とコストが大きな障害になるとの指摘があるとのこと。

同社はこれらの学習インフラの整備を支援するため、販売パートナー企業及びデバイスメーカー各社と連携し、1人1台の学習者用端末の導入におけるコストと工数を軽減するという同パックを無償で提供する。

同パックの提供内容は以下の通り。

まず同社が「クラウド展開センター」を設置し、全国の教育委員会の要望に合わせて児童・生徒に必要な初期アカウントをGIGA Promoに含むAzure Active Directory上に無償で作成すると共に、Microsoft Teamsを利用するリモート支援を行う。

同社が、GIGA Promoに含む端末管理ツール (MDM) である「Intune for Education」に対して、MDMにおける初期設定を無償で実施する。

これにより、各地現場で実際に作業にあたる人的リソースと工数を削減し、端末導入展開作業をサポートするという。

販売パートナー企業及びデバイスメーカー各社は、Azure Active Directoryへの端末の登録や校内で利用する Wi-Fi 設定など、学習者用端末に対する設定ファイルを作成する。

初期設定ファイルを書き込んだUSBメモリを挿入し、端末の電源をONにするだけで各種の設定が自動で可能になるとのこと。

デバイスメーカー各社から、Windows 10はサポート期間中の機能更新プログラム(最新のバージョンを含む)を適用した形で、さらにMicrosoft 365 Apps(旧Office 365 ProPlus)も既にインストールした端末モデルを用意する。

これにより、導入時のアプリケーションの更新・インストール時間を大きく削減するとしている。

同パックの利用により、導入パートナー企業の実測値に基づくデータでは、端末のインストール作業時間の短縮効果として1台につき約40分短縮できることがわかったという。

また、販売パートナーが初期設定ファイルを使用して端末の登録及び校内で利用するWi-Fi設定を自動化することで、1台につき約20分短縮できるとのこと。

仮に、学習者用端末の導入数を市部平均(政令指定都市を除く)7950台の納入とした場合、合計で約7950時間のキッティング工数とその人的費用の削減の実現が可能になると同社は考えている。