米VLSIresearchは、先に発表した2020年版の半導体製造装置サプライヤの顧客満足度調査ランキングトップ10に続いて、サブシステムサプライヤを含む製品カテゴリ別ランキングおよびこれら個々の企業の顧客満足度に関してもっとも強い要素に関する分析結果を発表した。

半導体製造装置のサブシステムを含むカテゴリ別サプライヤ顧客満足度で3つ星(10点満点で7.0点以上の得点)以上を獲得したサプライヤを同社では「ベストサプライヤ」と認定しているが、カテゴリ別では総合版とは異なり、大手サプライヤと中小サプライヤを区別することなく顧客満足度得点順ランキングを発表している。

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    2020年の半導体製造装置およびサブシステムサプライヤの顧客満足度調査に基づく製品カテゴリ別ランキング (出所:VLSIreserch)

テスト装置で1位を獲得したアドバンテスト

テスト装置カテゴリでは、アドバンテストが2019年の1位であったTeradyneを抜いてトップに立った。いずれも星5つを獲得しており、レーティングの差はわずか0.02であった。3位のFormFactor、4位Cuhu(ともに星4つ半)の順位は2019年と同じである。

テストサブシステムカテゴリでは、Technoprobeがトップ、2位はFormFactorで、3位には日本電産傘下のSV TCL(日本電産リードのプローブカード専業子会社)が入った。この3社はともにレーティングで9点以上を獲得しており、いずれもが5つ星を獲得している。ちなみに4位には日本電子材料が星4つ星半で入っている。

前工程(ウェハ処理工程)のサブシステムでは、真空ポンプのEdwards(星3つ半)のみベストサプライヤに選ばれた。ちなみに2019年は該当なしであった。高得点のテストサブシステムに比べて前工程サブシステムの評価は低いようだ。

後工程(実装工程)カテゴリでは、ASM傘下でシンガポールに本拠を置くASM Pacific Technologyのみが星4つ半でベストサプライヤとして認定された。

また、総合ファブ装置カテゴリのトップは、星5つのASMLであった。日本勢としては、4位に星4つでKOKUSAI ELECTRIC(2019年は7位)が、5位に東京エレクトロン(TEL)が同じく星4つで、9位に星3つ半でキヤノン、10位に星3つ半で日立ハイテクがそれぞれ入っているほか、大手チップメーカーのウェハファブ向け装置カテゴリとしてもトップのASML、2位のKOKUSAI ELECTRIC、3位のTELという順位に変更はない。ただ、こちらは6位にキヤノンが、8位にニコンがそれぞれ入賞している。

ベストサプライヤとして認定された21社、各社の強みは?

今回、VLSIresearchはベストサプライヤとして、半導体製造装置サプライヤランキング大手サプライヤ部門の9社、中小サプライヤ部門の8社ならびにサブシステムサプライヤ4社の合計21社をベストサプライヤに認定。これら21社それぞれの顧客満足度が高い2項目を公表した。

ベストサプライヤに選ばれた日本企業8社の強みは以下のようなものとなる(ABC順)。

  • アドバンテスト:他の人へ購入を勧めたい企業、サプライヤの信頼性
  • キヤノン:総合的な価値、顧客との協業
  • 日立ハイテク:アップタイム、製品の性能と品質
  • 日本電子材料:製品の性能、販売後のサポート
  • KOKUSAI ELECTRIC:販売後のサポート、アップタイム
  • SV TCL:アプリケーションサポート、他人に購入を勧めたいサプライヤ
  • ニコン:全体的な価値、販売後のサポート
  • 東京エレクトロン:製品の性能、他人に購入を勧めたいサプライヤ

3社に「販売後のサポート」「他人に購入を勧めたい」が共通しているほかは、各社各様の強みを発揮していることがここからは見てとれる。

ちなみにこれら21社のベストサプライヤのうち、「技術的リーダーシップ」が高く評価されたのは、Applied Materials(AMAT)、ASML、Lam Research、FormFactorの4社であった。いずれも新技術開発に注力している企業で、残念ながら日本勢は含まれなかった。

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    2020年の半導体製造装置サプライヤ(検査装置メーカー、サブシステムサプライヤを含む)の顧客満足度調査におけるベストサプライヤ(3つ星以上)21社と各社が顧客から高く評価された2項目 (出所:VLSIresearch)

顧客満足度トップを獲得したアドバンテストがコメントを発表

テスト装置カテゴリだけではなく総合ランキングでも顧客満足度トップを獲得したアドバンテストは、この発表を受ける形で、同社代表取締役兼執行役員社長の吉田芳明氏が、「今回の結果について、世界中の顧客の皆様に感謝している。この困難な時期に、顧客の皆様を確実にサポートするというコミットメントを維持できることを誇りに思っている。最先端のプロセスによって半導体へのより多くの回路の集積が進み、テスト結果のパフォーマンス、信頼性、品質は以前にも増して重要になっている。アドバンテストは、幅広いテストおよび測定ソリューションのラインナップとともにこうしたタスクに取り組んでいる。世界中の国々で5G通信の商業運用が本格的に始まれば、アドバンテストの重要性はさらに増すことになる。これからも世界中の主要チップメーカーの変わらないビジネスと信頼に感謝しつつ、彼らのロイヤルティを引き続き獲得できるよう努めていきたい」というコメントを出している。なお、同社は過去32年にわたり連続してトップ10に入っているものの、今回獲得した9.5点というレーティングは過去最高点だとしている。

今回の顧客満足度調査は、5カ国語のいずれかで書かれた調査用紙を世界中の半導体製造装置やサブシステムのユーザーに配布し、2か月半かけて1970名から合計27364項目にわたる回答を得た結果によるという。世界中の半導体企業の98%、サブシステム顧客の85%をカバーしているとのことで、サプライヤの実力、カスタマサービス、製品の性能を中心に質問して、最終的に10点満点で採点し、9点以上を星5つ、8.5点以上を星4つ半、8.0点以上を星4つ、7.5点以上を星3つ半、7.0点以上を星3つとして、7点以上の得点を得られた企業をベストサプライヤとしてVLSIresearchが認定している。