半導体業界動向の調査会社である米VLSIresearchは4月9日(米国時間)、半導体および関連製造業界(FPDおよび太陽電池業界)の2019年における装置に搭載されるサブシステムを供給する企業売上高ランキングトップ10を公開した。

サブシステムとは、各種製造装置に組み込まれたり、付帯している部材のことで、真空ポンプ、流体ポンプ、バルブ、配管、マスフローコントローラ、プロセス診断ツール(分析計など)、光学部品(レンズ、ミラーなど)、RF電源、熱交換器、静電チェック、搬送ロボットなどを指す言葉で、半導体および関連業界の主要サブシステムにおける売上高の中でも半導体製造装置向けは86%を占めている。

EUVの量産活用の恩恵か? トップはZeiss

2019年における製造装置サプライヤのトップ10順位は2018年からほとんど変わっておらず、変わったのは9位のIchorSystemsと7位のUltra Clean Technologyがそれぞれの順位を入れ替えただけといった具合である。

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    半導体・FPD・太陽電池産業における2019年の主要サブシステムサプライヤ売上高ランキングトップ10 (出所:VLSIresearch)

トップは、光学系サブシステム(レンズやミラーなどの光学系部品)のサプライヤーであるZEISSで、2019年のサブシステム業界の総売上高が前年比11%減となったにもかかわらず、その売上高は同9.5%増と伸ばしており、この結果、同社のサブシステム市場におけるシェアは前年比で2.6%の増加となった。

背景にはEUCリソグラフィが本格的に量産適用されたことがあり、ASMLのEUVリソグラフィの光学系サブシステムを独占提供している同社がその恩恵を享受する結果となっている。

2位はポンプメーカーのEdwards。VLSIresearchは個々の企業の売上高を公表していないので、個別に今回の統計の集計を行った英国法人のVLSI Research Europeに取材を行って確認したところ、ZEISSのサブシステムの売上高が16億8100万ドルとのことであり、そこから他社の数値を推測していただきたい。

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    サブシステムサプライヤ大手10社の2019年の市場シェアの前年比増減率 (出所:VLSIresearch)

日本企業は2社がランクイン

ZEISSを除く9社はいずれも売上高を前年比で減少させた模様だ。ただし、Edwardは2019年にBrooksのクライオポンプ事業の買収を完了しており、その結果、サブシステム市場シェアを0.3%増やすことに成功した模様である。

またトップ10には、日本企業が2社入っている。5位の堀場製作所と10位の荏原製作所で、前者はマスフローコントローラや各種プロセス診断用分析計、後者はポンプが主なサブシステムとなっている。

トップ10社の市場シェアは5割

サブシステム市場における大手10社の売り上げシェアの合計はこの10年ほど約50%ほどで推移してきた。主要なプレーヤーが市場で確固たる地位を築いており、合併や買収を通じて重要なサブシステム市場全体の重要な市場シェアを獲得する機会が少なくなったためで、結果として現状は均衡レベルに達しているとVLSIresearchは判断している。

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    サブシステム大手10社の売上高合計額の世界市場に占める割合の変遷 (出所:VLSIresearch)