半導体ファウンドリ最大手のTSMCは2020年5月15日、米国連邦政府ならびに米アリゾナ州からの要請を受ける形で、アリゾナ州に新たな半導体ファブを建設し、ファウンドリサービスの提供を開始することを決定したと発表した。
ファブの建設は2021年に開始し、生産は2024年から開始する予定であるという。同社では、同ファブは先端の5nmプロセスを採用し、月産2万枚の生産能力を有し、1600人以上のハイテク関連の専門職の雇用を生み出すほか、数千もの間接的な業務を生み出すことで米国経済の活性化に貢献すると説明している。
また、このファブ建設の費用は2021年から2029年にかけて総額で約120億ドルを見込むとしている。
米国トランプ政権は国家安全保証上の理由に加えて米中貿易摩擦や新型コロナウイルスによる国際サプライチェーンの遮断リスク回避のため、TSMCに対して米国内で国防上必要な最先端の半導体デバイスの受託生産に応じるよう再三に渡り要請しており、同社はすでに商務省や国防総省と協議を重ねていた。
TSMCは「米国で最先端の半導体技術を活用するための世界的に競争力のある環境を実現するために、米国(政府)が将来を見据えた投資政策を採用することは、このプロジェクトの成功にとって重要である」として、米国政府およびアリゾナ州政府の支援と強力なパートナーシップを期待する旨をコメントしている。
なおTSMCは現在、米国のワシントン州カマスにレガシーなファブを有しているほか、テキサス州オースティンならびにカリフォルニア州サンノゼにデザインセンターを有しており、新たに建設されるアリゾナ工場は、同社の米国での2番目の製造拠点という位置づけとなる。