東京海上日動火災保険と日本IBMは4月28日、東京海上日動がこれまでの災害対応を通じて得てきたデータ及び、IBMのグループ企業である気象情報サービス会社である米The Weather Company(TWC)が保有する高精度な天候データ、日本IBMが持つデータ分析の専門性や知見を用いて、強風が発生したエリアにおける被害レベルを予測するAI(人工知能)モデルを共同で開発したと発表した。

TWCは、AI(人工知能)を利用した精度の高い予報データを、1kmメッシュの範囲かつ最大15日先までのデータをリアルタイム(1時間単位)で収集でき、気温や降水量、風向・風速、気圧といった一般的な項目の他、直達日射量、体感温度、視程、空気密度など、ビジネスに利用するための予報、現況、過去データをAPIで提供。

実証実験では、東京海上日動が過去の事故対応により集積したデータとTWCが提供する気象データを組み合わせ、AIによる機械学習を行うことで、強風エリアにおける被害レベル(被害の有無、被害件数、保険金支払見込額)を早期に予測する「風災被害AI予測モデル」を構築し、実現性を検証した。

今回の検証では、特定の台風において地域レベルでの支払件数予測が高い精度で可能になったという。例えば2018年に発生した台風21号のケースでは、特に被害の大きかった大阪府での実際の保険金支払い件数と予測した支払い件数が、誤差率5%以内の確率で一致したとしている。

東京海上日動と日本IBMは、今後、より細かい粒度のオープンデータや多くの台風データを学習させ、AIモデルの精度をさらに高めていく予定だという。

今回の実証では地域単位での保険金支払い件数に関する予測を実施したが、今後は、個別契約単位での被害額の予測及びAIモデルの汎用性について検証を進めていくとしている。