国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は3月9日(米国時間)、半導体の前工程ファブに対する製造装置の投資額の予測を発表した。

それによると、2019年は低迷したものの、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響があっても前年比3%増の578億ドルと緩やかな回復が期待され、2021年には大きく伸びて過去最高を更新することが期待されるという。

2020年の回復が緩やかな理由としては、2019年下期から2020年上期にかけて18%の減少が予想されているためとしている。SEMIは2019年12月開催のSEMICON Japanにて、2020年の設備投資額を前年比6%増と予測していたが、それを下方修正したことになる。新型コロナウイルスの感染拡大が終息し、市場の回復が定着し始める2020年下期に状況改善が進むとSEMIでは希望的な観測を出している。

新型コロナウイルスでも5%の成長が期待される中国

近年の半導体製造装置市場をけん引してきた中国だが、SEMIでは新型コロナウイルスの影響により、2020年の同国における前工程への投資額は減少するものとの見通しを示しており、設備投資額を2019年11月に発表した予測の前年比16%増から同5%増の120億ドルへと下方修正している。また、2020年が停滞する一方で、2021年にはSamsung Electronics、SK Hynix、SMIC、YMTCなどが積極的な投資をおこなうことで同22%増の150億ドルに急増するとの強気の予測をしている。

2020年の投資額トップ地域は台湾

2020年の前工程投資額がトップとなる地域は台湾で、TSMCに加え、Micron Technologyの子会社2社がけん引役になると見られ、同地域の設備投資額は合計140億ドルと予測している。ただし、2021年は同5%減の130億ドルとなり、地域順位は3位に転落するともしている。

一方、台湾と設備投資額で首位を争ってきた韓国の2020年の設備投資額は同31%増の130億ドルで2位。2021年は同26%増の170億ドルでトップに返り咲くものとSEMIでは予測している。

また、東南アジア(主にシンガポール)も、2020年に同33%増の22億ドル、2021年も同26%増とは堅調な動きを見せることが予測されている。

メモリとイメージセンサがけん引役の日本

日本の2020年の前工程投資額は、前年比2%増とごくわずか(2019年開催のSEMICON Japanでの予測は同10%増であった)となっている。また、2021年も約4%増となっている。けん引役はキオクシア/Western DigitalのNANDや、ソニーのCOMSイメージセンサ、Micron TechnologyのDRAMといったアプリケーションがけん引役になると見られている。

北米は2020年に同24%減の62億ドル、2021年も同4%減となり減少傾向が続くものの、欧州/中東は活発な設備投資が期待されており、2020年は同50%超の増加となる37億ドル。さらにIntel、STMicroelectronics、Infineon Technologiesなどが投資を進めるため2021年もプラス成長が続くものとみられるとしている。