アプリケーション事例 - 「LLCコンバータ」

150Wを超える高電力では、効率を向上させスイッチへの電圧ストレスを抑えるために、共振LLCコンバータがよく使用されます。このコンバータの特徴は、駆動波形がそれぞれ50%のデューティサイクルであり、周波数を変化させてレギュレーションを実現することです。

そのため、オーバーラップが絶対に発生しないようデッドタイムを制御することが不可欠です。図3は、高性能LLCコントローラ「NCP13992」による代表的な配置を示しています。この設計は、500kHzのスイッチング周波数で動作可能なため、一般に高性能ゲーミングアダプタやOLEDテレビやオールインワンPC向けの組み込み電源に採用されています。

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    図3 GaNに基づくLLCコンバータの概要

図中のオン・セミコンダクター製ドライバ「NCP51820」は、ゲート駆動がオーバーラップしないように設計されていますが、オーバーラップが必要なトポロジ(電流形コンバータなど)に対しては、これを無効にすることができます。このデバイスはイネーブル入力および電源電圧低下と温度超過に対する総合的な保護機能も備えています。4mm×4mm、15ピンのPQFNパッケージに収納されているため、GaNデバイスのゲートに短く低インダクタンスで接続できます。

基板レイアウトの配慮

どんなアプリケーショにおいても、目標性能を達成するためには基板レイアウトが重要です。図4は、オン・セミコンダクターの「NCP51820」によりゲートドライバループを最小にし、かつ整合させるレイアウト例を示しています。GaNデバイスとドライバをプリント基板の同一面に配置し、グランドプレーンやリターンプレーンを適切に使用してビアに大電流が流れないようにしています。

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    図4 GaNゲート駆動回路の優れたレイアウト実例

まとめ

GaNスイッチでは、実際のアプリケーションにおいて動作信頼性を確保し、効率と電力密度を確実に向上させるために、ゲート駆動回路を注意深く設計する必要があります。慎重なレイアウトと併せて、ハイサイドおよびローサイド駆動に多彩な機能を備えたNCP51820などの専用ドライバを使用することにより、GaNデバイスの性能を最大限に引き出すことができます。

著者プロフィール

Young Ang
ON Semiconductor
Strategic Marketing Director

ON Semiconductorにて、主にワイドバンドギャップ半導体のエコシステム並びにビジネス戦略、製品開発を担当する、新規ビジネス開発担当ディレクタを務める。ON Semiconductor入社以前はフェアチャイルドでアプリケーション・エンジニアリング担当ディレクタ、Diodeでディスクリート製品アプリケーション並びにテクニカル・マーケティング担当マネージャを務めていた 。