デザミスとNTTテクノクロスは6月28日、乳用牛および肉用繁殖牛の分娩兆候を検知するアルゴリズムを共同開発したと発表した。両社は、デザミスが提供している牛の行動モニタリングシステム「U-motion」の新機能として「分娩アラート」の実証実験を4月から開始し、2019年内に提供開始を予定している。

近年、子牛の市場価格が高騰していることもあり、分娩事故によって子牛を亡くしてしまうことは、酪農家および肉用牛繁殖農家の経済的損失であると同時に精神的な負担も伴い、農場では安全に子牛を取得するため、分娩に立ち会うことに加え、難産が予想される場合には獣医師に依頼をするケースも増えているという。

そのための対応として、母牛の分娩予定日には見回りや待機などの作業が発生するが、実際の分娩は予定日から数日前後することが多いほか、深夜から早朝に及ぶ場合もあるため農家への負担が分娩事故は決して少なくないのが現状となっている。

実証実験はU-motionの契約ユーザーを対象に、分娩予定日が近い乳用牛および肉用繁殖牛にセンサを取り付け、分娩前にアラートが作動することを確認。これにより、試験頭数に対して9割以上の牛について、アラートの発報から1~6時間以内に分娩が認められたという。

U-motionは、牛の行動をリアルタイムでモニタリングするサービスとなり、牛に装着した専用センサが採食、飲水、起立、横臥、歩行、反芻などの行動データを24時間収集し続け、十分な観察時間が確保できない状況でも集積したデータをAI(人工知能)で解析し、発情兆候や健康状態を検知することで農場管理をサポートするとしている。