Samsung Electronicsは、2018年第3四半期(7-9月期)に実施する計画だった平澤(ピョンテク)工場の上層階東側のDRAMライン増設のうち、第2期拡張部分への設備投資を2018年末か2019年頭まで延期することを決定、それに伴い、製造装置メーカーも、装置の搬入を延期していたが、半導体製造装置業界の関係者によると、この延期スケジュールが修正され、期間の定めのないものになったという。

これまでは、SamsungがDRAMの需給バランスを見たうえで、一時的に生産調整を行なうものとの見方が強かったが、今後、DRAMの供給過剰による価格下落が現実に起こる可能性が高まっていることを受け、増産を進める競合各社の先手を打って設備投資計画の変更を行い、増産を控えることで利益の確保を優先することとした模様である。

すでにNANDは2018年の初頭から継続して下落が続いており、Samsungでも上半期にNANDの生産ラインへの設備投資抑制を実施。しかし、それでも価格下落は続いており、今後の設備投資の再開の見込みは立っていないようで、これ以上の価格下落が続けば、先日、四日市工場 第6製造棟が竣工したばかりの東芝メモリ/Western Digitalの陣営など、他のNANDメーカーの設備投資計画にも影響を与える可能性がある。

多くの半導体製造装置メーカーは、これまでのシリコンサイクルから、上昇基調が続くスーパーサイクルへと転じたことを信じて、製造装置の増産体制を築いてきたが、ここにきて目算が狂い、計画の修正を余儀なくされそうだ。Samsungと取引の多い日米の大手半導体製造装置メーカーほど大きな影響を受ける見込みで、一部の企業では、すでに社員に経費削減の指示が出ているという。

どうなる? 半導体製造装置市場

日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、9月20日付けで2018年8月度の日本製半導体製造装置販売額(海外への販売を含む)の速報値を発表しているが、それによると、8月の成長率は前月比3.9%減、前年同月比11.9%増の1814億5000万円であった。

今年の春までは前年比で30%を超す勢いで成長してきたが、6月以降は成長率が鈍化してきており、ここに来て、GLOBALFOUNDRIESの7nm以降の開発中止やSamsungの設備投資凍結が、その動きに拍車をかける可能性もある。特に、メモリメーカー各社が設備投資計画を見直すといった動きが連続して起こる可能性も考えられ、そうした動きが、製造装置業界に、どのような影響をもたらすのか、今後の動きが注目される。

  • 2018年3月から8月までの日本製半導体製造装置販売額推移

    2018年3月から8月までの日本製半導体製造装置販売額(海外への販売を含む)推移 (出所:SEAJ,2018/9/20)