アマゾン ウェブ サービス ジャパン パートナーアライアンス本部 本部長 今野芳弘氏

アマゾン ウェブ サービス ジャパンは5月28日、Windowsビジネスに関する説明会を開催した。同社はWindows Server 2008/R2が2020年1月14日にサポートが終了することを見据え、今年4月に新たなサービスデリバリープログラムとして「Amazon EC2 for Windows Server」を発表している。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン パートナーアライアンス本部 本部長の今野芳弘氏は、マイクロソフト製品のワークロードの稼働先として、同社のクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」が適している理由として、「パフォーマンス、可用性、信頼性、セキュリティの高さ」「多種多様なソリューション」「コスト」「柔軟性」「拡張性」を挙げた。

既に多くのマイクロソフト製品がAWS上で稼働しており、600を超えるWindowsサーバベースのソリューションがAWS Marketplaceに登録されているという。

  • AWS上で稼働するマイクロソフト製品

ご存じのように、マイクロソフト自身もパブリッククラウド「Microsoft Azure」を提供している。そうした中、あえてAWSの利用を推進する背景について、今野氏は「前提として、AWS上でマイクロソフト製品のワークロードを利用したいというニーズがある。われわれとしては、パブリッククラウドを長年運用してきた実績に基づく高い信頼性、可用性を提供できる。また、マイクロソフトのユーザーができる限り容易にAWSに移行するためのツールも用意している」と説明した。

例えば、Windows ServerをAWSに移行するためのツールとしては、「VM Import/Export」「Server Migration Service」「Database Migration Service」が提供されている。「VM Import/Export」はコマンドで仮想マシンを移行するツール、「Server Migration Service」はGUIで仮想基盤を移行するツール、「Database Migration Service」は各種データベースを移行するツールとなる。

  • Windows ServerをAWSに移行するためのツール

柔軟性という点では、マイクロソフト製品のライセンスについても、ユーザーが保有しているライセンスを利用することもできれば、AWSのライセンス込みのサービスを利用することもできる。

  • AWSでマイクロソフト製品を利用する場合のライセンスの選択肢

同社は、特定のAWSサービスにおいて、高い専門知識と成功実績がある認定パートナーを見つけることを支援するため、「AWSサービスデリバリープログラム」を提供している。今年4月に、同プログラムに「Amazon EC2 for Windows Server」が追加された。

「Amazon EC2 for Windows Server」の認定基準は、「EC2 Windowsを利用した事例2件」「AWS上にあるEC2 Windowsソリューションを公開し、AWSとの関連性を確認可能なWebサイト」「オンライントレーニングの受講」「監査」となっている。

今野氏によると、「Amazon EC2 for Windows Server」の監査においては、マイクロソフト製品の知識ではなく、AWSをインフラとして利用できる提案能力の有無が問われるという。同氏は、「認定は簡単に取れるものではなく、更新も必要」として、信頼に値する制度であることを示した。

説明会には、「Amazon EC2 for Windows Server」の認定を受けた富士ソフトと日本ビジネスシステムズの担当者も登壇した。

富士ソフト 取締役 常務執行役員 ソリューション事業本部長 新井世東氏は、「当社は、調査、設計、移行、運用までを行う『AWSマイグレーションサービス』を提供している。このサービスを提供してきて、移行で大切なことはセキュリティだと感じている。オンプレからクラウドに代わることで、セキュリティも変わる。AWS関連のビジネスにおいて、最も蓄積されたのはセキュリティに関するノウハウ」と語った。

新井氏は、「Windows Server 2008/R2が2020年1月14日にサポートが終了することも、認定を受けたいいタイミング」と述べた。

日本ビジネスシステムズ イノベーションサービス統括本部 データプラネットソリューション本部長 伊藤英啓氏もまた、「AWSのビジネスにおいて、セキュリティの話が多い」と語った。企業がクラウドに移行するにあたり、「セキュリティ上、問題はないか」「オンプレミスで動いていたシステムが動くのか」「運用がどう変わるのか」といった不安を抱えているが、同社としてはこうした不安を解決するため、サービス「JBS Service Offering for AWS」を提供しているという。

企業によるAWSとMicrosoft Azureの選択について、新井氏と伊藤氏は、「ユーザーが自社で運用管理を行っている場合はAWS、インテグレーションや運用管理を任せたい場合はAzureが選ばれているケースが多い」と同じ見解を示した。

  • 左から、日本ビジネスシステムズ イノベーションサービス統括本部 データプラネットソリューション本部長 伊藤英啓氏、今野氏、富士ソフト 取締役 常務執行役員 ソリューション事業本部長 新井世東氏