市場調査会社である台湾TrendForceのメモリ調査部門DRAMeXchangeによると、サーバDRAMベンダシェア上位3社(Samsung Electronics、SK Hynix、Micron Technology)の2017年第4四半期における同分野の売上高合計は、平均販売価格(ASP)の上昇を受け、前四半期比13.9%増と2桁成長を遂げたとの見通しを発表した。
同社では各社ともに、同四半期中にサーバ向けDRAMに多くのDRAM生産能力を割り当てたものの、需要に追いつくことはできなかったと見ており、その要因として。北米でデータセンターの増設が相次いでいることを挙げている。DRAMeXchangeのアナリストMark Liu氏は、「世界規模でサーバの出荷台数が増加する中、引き続き2018年第1四半期もサーバDRAMの供給不足が続く」と指摘している。
シェア拡大で業績を伸ばすSamsung
Samsungの2017年第4四半期のサーバ向けDRAM事業は、データセンターからの需要増と高容量メモリモジュールの需要増により、前四半期比でビット出荷数量で8%増、金額ベースではASPが高まったため、同14.5%増の29億1900万ドルとなった。この結果、市場シェアは約46.2%へと前四半期比0.3ポイント増加した。現在、同社はOEMおよびODMからの受注に対応して出荷割合を調整している模様で、これにより、利益を増やしながら主要顧客の需要も満たそうとしている。
サーバDRAMの生産比率を高めるSK Hynix
SK Hynixは、北米のデータセンター市場でさらに多くの商機を獲得するために、サーバDRAMの生産に多くのリソースを配分する戦略を採用している。その結果、DRAMの製品構成におけるサーバ向け割合を2017年第3四半期に前四半期比で30%以上増加させたほか、併せてAMDの「EPYC」や、Qualcommの「Centriq 2400」といったXeonに取って代わろうというサーバプロセッサ・プラットフォームの登場が、高容量メモリモジュールの販売を後押しすることとなり、売上高は同10.9%増の19億8800万ドルとなり、営業利益率も前四半期から大幅に改善した。2018年もサーバDRAMの需要が強いことから同社はさらにサーバDRAMの生産割合を高める可能性が高いほか、18nmプロセスへの移行と普及率向上による売上高の増加が見込まれるという。
着実にシェアを拡大するMicron
Micronは、DRAM価格の高騰と微細化による収率アップでコスト削減の恩恵を得た。この結果、2017年第第4四半期は、サーバDRAMの平均販売価格の上昇のみならず、ビット出荷数量の増加も達成。その結果、2017年第4四半期のサーバDRAM売上高は、前四半期比17.2%増の14億1400万ドルとなり、市場シェアも22.4%と0.6ポイント上昇した。ただし同社は、DRAM生産量うち、サーバDRAMの割合を30%近くに抑えており、今後の売り上げの増加はASPの継続的な上昇に期待する必要がある。
なお、2018年は、先述のEPYCやCentriq 2400の本格出荷に加え、王者IntelのXeonスケーラブルプロセッサ(開発コード名:Purley)を採用したサーバ製品も各社から本格的に出荷される見通しであるため、プロセッサベンダとしては勝負の年になることが見込まれる。また、そうした高性能プロセッサの普及に伴い、サーバDRAMにもより高速かつ低消費電力の実現が求められることとなることから、今後のDRAM市場のさらなる拡大が期待できるようになる。