東京国際空港ターミナル、日本空港ビルデング、NTT、パナソニックは12月3日、訪日外国人とユニバーサルデザインを同時に対象として、最先端情報技術を活用した、情報ユニバーサルデザイン高度化の共同実験を羽田空港の国際線旅客ターミナルで開始した。

今回、NTTが「画像解析技術を用いたかざすUIによる情報提供」「ビッグデータ解析技術を用いた動的サインによる人流誘導」「音声処理技術による音サインの明瞭化」に関する実験を、パナソニックが「光ID技術を使用した商業エリアなどの空港施設の認知検証」「Bluetoothビーコンを使用した施設案内誘導検証」を行う。

「画像解析技術を用いたかざすUIによる情報提供」においては、訪日外国人にとって不案内な場所における移動・食事にまつわる課題を解決するため、直感的な動作だけで、有益な情報を容易に取得できる技術の確立を目指す。

具体的には、NTTが開発した「アングルフリー物体検索技術」を利用し、到着ロビーの看板・案内板や、商業エリアの店舗建物や料理サンプル・商品に、スマートフォンのカメラを向けるだけで適切かつ有用な情報を得られるというUXの有用性を評価する。

「画像解析技術を用いたかざすUIによる情報提供」の実験の概要

「動的サインによる人流誘導」では、混雑状況を先読みして動的に案内サインを変化させることにより、施設内での混雑を回避し、最適な人の流れ(人流)の誘導の実現を目指す。

具体的には、到着ロビーや出国口といった人の滞留が発生しやすい箇所で動的な案内サインを提供することにより、最適な表現(表記、色彩、タイミングなど)に関する知見獲得を図るほか、従来は音声アナウンスで対応しているシーン(緊急案内など9に示す情報を視覚化することで、聴覚障がい者などへの情報提示手法としての有効性についても確認する。

「ビッグデータ解析技術を用いた動的サインによる人流誘導」の実験の概要

「音声処理技術による音サインの明瞭化」では、トイレやエスカレーターなどにおいて、周囲に雑音があっても聞き取りやすい音声で案内を行うとともに、音サインの音声自体が周囲に対しての騒音とならないよう環境に配慮されたシステム「インテリジェント音サイン」について、視覚障がい者への被験者実験を行う。

「音声処理技術による音サインの明瞭化」の実験の概要

「光ID技術を使用した商業エリアなどの空港施設の認知検証」では、パナソニック独自の光ID技術を使用した商業施設の認知効果の検証を行う。具体的には、空港施設内に光ID対応の案内看板を設置し、看板付近を通過する障がい者や外国人などの空港利用者に対して光ID看板にスマートフォンをかざすことにより多言語での店舗情報を取得し、商業エリアの認知の効果が得られることを被験者実験により検証する。

「音声処理技術による音サインの明瞭化」の実験の概要

「Bluetoothビーコンを使用した施設案内誘導検証」では、羽田空港内の商業エリアに指向性ビーコンを設置し、バリアフリーナビゲーションアプリを使用して目的地までの誘導がスムーズにおこなえるかを被験者実験により検証する。

「Bluetoothビーコンを使用した施設案内誘導検証」の実験の概要

今回の共同実証実験の結果を受けて、2020年に向け、技術の実用化・導入、新たな技術開発・実証実験を行うとともに、他の空港等の新たな共同実験パートナー企業の参画を呼びかていくという。