ヴィエムウェア 代表取締役 三木泰雄氏

ヴイエムウェアは11月5日、年次イベント「vForum 2014」をスタートした。同イベントは2日間にわたり開催される。初日の基調講演には、VMware CEOのパット・ゲルシンガー氏が登壇し、同社の戦略および最新製品について語った。

初めに、ヴィエムウェアの代表取締役を務める三木泰雄氏が「ソフトウェアによってITにおける制約をなくすことで、企業に対し、新たな戦略に踏み込んでもらう。われわれは、それを実現する技術を提供していく」と、今年のテーマ「NO LIMITS」の意味するところを説明した。

続いて、ゲルシンガシー氏が同社の戦略の柱である、ソフトウェアでデータセンターを制御しようとする構想「SDDC(Software Defined Datacenter)」「エンドユーザー・コンピューティング」「ハイブリッド・クラウド」について、説明を行った。

SDDCは、コンピューティング、ネットワーク、ストレージ、管理という要素から構成されるが、9月に米国で行われた「VMworld」では、各要素に関連したさまざまな製品が発表された。

VMware CEO パット・ゲルシンガー氏

コンピューティングに関連した製品として、プライベート・クラウドを構築・管理するための機能が含まれる統合製品「vCloud Suite 5.8」とサーバ仮想化プラットフォーム「vSphere 6.0ベータ」が、ストレージに関連した製品としては「Virtual Volumes」とソフトウェアベースの共有ストレージを実現する「Virtual SAN 2.0ベータ」が、管理に関連した製品としては統合管理製品「vRealize Suite」が発表された。

ゲルシンガー氏は、統合インフラを提供しSDDCを構築する製品として、ソフトウェアとハードウェアをパッケージして提供される「VMware EVO」を紹介した。「EVO」を構成するソフトウェアは同社が、ハードウェアはパートナーが提供する。「EVO」には、100台程度の仮想マシンを対象としたミッドレンジ規模「EVO Rail」とデータセンター規模のシステムを対象とした「EVO Pack」の2種類があるという。

加えて、「ネットワークには"スピード"、"経済性"、"セキュリティ"という3つの課題があるが、これらを解決するのがネットワーク仮想化およびセキュリティ プラットフォームであるNSX」と、ゲルシンガー氏は述べた。「NSXは、スイッチ、ルーティング、ファイアウォール、ロードバランザーなど、物理セキュリティが提供するすべての機能をソフトウェア上で提供する」

さらに、ゲルシンガー氏は「NSX」がセキュリティの確保に有用と訴えた。

「現在、セキュリティの再設計が必要とされる状況にある。なぜなら、今のデータセンターの外側は強固だが、内側はセキュリティが不十分であり、いったん侵入を許してしまうと、制御できなくなる。そこで、SDDCとNSXを導入することで、データセンターの外側に加え、内側も強固にできるようになる」

VMwareの戦略を支える3つの柱

2つ目の柱である「エンドユーザー・コンピューティング」は、パートナーシップの拡張と技術の開発から、推進しているという。エンドユーザー・コンピューティングを実現する製品としては、ワークスペース管理製品「「Workspace Portal」デスクトップ仮想化製品「VMware」、デバイス管理製品「AirWatch」、モバイルコンテンツ管理製品「Content Locker」が紹介された。

今回、目玉となったのが3つ目の柱となる「ハイブリッド・クラウド」だ。ゲルシンガー氏は「従来型システムとクラウドのメリットを享受できるシステムがハイブリッド・クラウド」と訴える。

同社がハイブリッド・クラウドを実現する解として提供するのが「vCloud Air」だ。同日、vCloud Airが11月10日より、日本国内でも提供が開始されることが発表された。

vCloud Airは、仮想ネットワークやセキュリティコンポーネントを備え、単一の管理ツールを提供することで、仮想マシンの自由な移行やプライベート・クラウドとパブリッククラウド間のスムーズなアプリケーション連携を実現する。同社のサーバ仮想化ソフト「vSphere」を利用している場合、既存システムの拡張リソースとしてvCloud Airを活用できるうえ、vCloud Air上に構築した仮想マシンに変更を加えることなく、プライベート・クラウドへ戻すことができる。

基本サービスとして、「仮想プライベートクラウドサービス」「専有型クラウドサービス」「災害対策サービス」が提供される。今後、デスクトップサービス、仮想プライベートクラウドサービス、データベースサービス、DEVOPSサービス、オブジェクトストレージ、モビリティサービス、クラウドマネージメントも順次、提供される予定だ。

「vCloud Air」の概要

ゲルシンガー氏によると、国内でvCloud Airのベータ・プログラムを利用している企業は50社以上あり、「パフォーマンス」「運用管理のしやすさ」「既存のオンプレミス環境との親和性の高さ」などについて、評価を得ているという。