人の意識とコンピュータの融合は、何を起こすのか?

ちなみにタイトルの「トランセンデンス(Transcendence)」とは「超越」を意味し、技術的特異点の同義語だ。劇中では、ジョニー・デップが演じる人工知能の研究者で、主人公のウィル・キャスター(画像9)が唱える。ストーリーの概要は、ウィルが人工知能などの発達し過ぎた技術を危険視し、反テクノロジーを標榜するテロリスト集団「R.I.F.T.(Revolutionary Independence from Technology)」の1人に撃たれ、一命は取り留めるものの、弾丸に放射性物質が塗られていたため、余命4~5カ月となってしまうが(画像10)、その妻であり、人工知能研究のパートナーでもあるエヴリン(レベッカ・ホール:画像11)は彼を失うことを恐れたあまり、最新の研究成果を無許可で使用し、「PINN(Physically Independent Neural Network)」と呼ばれる最新のスパコンへウィルの頭脳(意識)のインストール(マインド・アップローディング)を行ってしまうというものだ(画像12)。

画像9(左):人工知能に関する講演を行うウィル。画像10(右):ウィルを襲った銃弾には、放射性物質が使われており、弾丸自体は急所を外していたのだが、余命いくばくもない体となってしまう。

画像11(左):ウィルの妻のエヴリン。講演会で司会を務めていた彼女の前で、ウィルは撃たれてしまう。画像12(右):マインド・アップローディングを行うため、頭部にセンサを取り付けるべく、頭髪を刈っているところ

アップロードにより、ウィルの思考のすべてがデジタル化され、コンピュータのメモリへと保存される。いや、されたはずだったが、彼の意識ははたして蘇るのかどうか(画像13)。そして、彼の意識のアップロードが人工知能に何をもたらし、その人工知能は何をもたらすのか…。あまり多くを語ってしまうのはもったいないので、あとはぜひ映画をご覧いただきたい(画像14・15)。

画像13(左):エヴリンと、キャスター夫妻の友人の同じく神経生物学者のマックス(ポール・ベタニー)はウィルの意識のコンピュータへのインストールを試みるがはたしてして…。画像14(中):手前は、名優モーガン・フリーマンが演じるウィルの恩師のジョセフ。エヴリンの左は、FBI捜査官ブキャナン(キリアン・マーフィ)。はたして、ここはどこかというのは映画を観てご確認いただきたい。画像15(右):ここがどこで、何がどうなっているのかも、観てご確認いただきたい