富士ゼロックスは、地方自治体・観光協会向けに、スマートフォンのGPS機能を利用して観光スポットの紹介を行う「観光音声ガイドサービス」を7月10より提供開始した。すでに、11の団体が導入に向けた実証実験を行っているという。

このサービスは、あらかじめ登録した地点に、スマートフォンを携帯した観光客が到達すると、その付近にある観光スポットを紹介する音声が自動的に流れるというもの。

「観光音声ガイドサービス」用スマートフォン

地方自治体/観光協会は、クラウド上制作ツールを利用し、あらかじめガイドしたい場所の位置情報とテキストコンテンツをクラウド上のサーバに登録する。ガイダンスはテキストで登録でき、自動的に音声データに変換される(録音した音声データを利用することも可能)。案内する言語は日本語のほか、英語、中国語、韓国語にも対応する。

「観光音声ガイドサービス」制作ツール。音声をテキストで入力できる

案内する地点は、単に場所だけでなく、移動する向きやスピード(徒歩、電車、自動車)によって、案内するガイダンスを変更できる。登録する地点は、直径20mの円で行い、この範囲に観光客がは入ったときにガイダンスするしくみだが、GPSの精度は案内する地形に応じて変更できるという。

「観光音声ガイドサービス」のイメージ

利用するスマートフォンは、富士ゼロックスから購入する形態で、地方自治体/観光協会は、それを観光客に貸し出して利用してもらう。観光客が所有するスマートフォンを利用しない理由を同社は、「GPSの性能のバラつきがあり、均一のサービスを提供できなくなるため」と説明した。

なお、スマートフォンにはSIMが搭載されておらず、通信はできない。そのため、案内する音声はメモリカードにダウンロードして利用する。音声データの個数は1つの言語あたり500個まで、データの総量は2GBまでという制約がある。

利用価格は、「観光音声ガイドサービス」の初期費用が20万円、月々の利用料が1万円(いずれも税別)。このほかに、端末代と利用回数に応じた端末アプリの利用料が必要になる。利用する端末は、一般に市販されているもので、市場価格は2万円程度のものだという。

富士ゼロックス 執行役員 研究技術開発本部 本部長 大西康昭氏

富士ゼロックス 執行役員 研究技術開発本部 本部長 大西康昭氏は、同社が今回のサービスを始めた背景を、「弊社はコミュニケーションに着目しているが、コミュニケーションにはドキュメントだけでなく、動画や音声などいろいろな形態があり、われわれもコミュニケーションの幅を広げていかなければならない。今後はいろいろなメディアサービスを出し、それらを融合させて新たな価値を提供したい」と説明した。

同社では、今回のサービスを2013年度に50地域、2014年度に100地域を目標に販売していくという。