ネポンと日本電気(以下、NEC)は、NPO法人・ちば農業支援ネットワーク(以下、ちば農業支援ネットワーク)とともに、ちばみどり農業協同組合(以下、JAちばみどり)の農家14戸に、農業の生産性向上や農作物の品質改善に貢献する農業ICTクラウドサービスを提供したと発表した。

JAちばみどり 農家のハウス(温室)に設置されている環境センサ

温室用温風暖房機の国内トップメーカーであるネポンと、M2M技術を利用したソリューション「CONNEXIVE(コネクシブ)」を提供しているNECは、本年5月にセンサネットワークを利用して農地データの見える化を実現する「農業ICTクラウドサービス」の提供を開始した。

農業ICTクラウドサービスの全体像

本サービスにより、JAちばみどりおよびJA富里市の導入農家では、ハウスでのキュウリ、トマト等の栽培において、センサで収集した温度・湿度・日照量・二酸化炭素量の情報をリアルタイムでモニタリングし、クラウドでデータ収集を行う。これにより、遠隔からスマートフォンやパソコンでハウス内の状況把握ができるようになる。

また、温度などに上限・下限のしきい値を設定しておき、異常があった場合はスマートフォンを鳴動させるなど、警報を出すこともできるほか、今後は、監視データをもとにハウスの窓を開閉したり、炭酸ガスの濃度を調整するといった遠隔制御の実現。「コミュニケーション」では、日々の営農日誌をクラウドに蓄積しておき、その情報を元に営農指導者からアドバイスを受けたり、農協に出向かなければ把握できなかった農産物の市況情報、農薬名・散布時期・散布濃度などの防除暦、天気情報などのリアルタイムな提供も視野に入れているという。

そのほか、農産物の市況や生産マニュアルなどの情報も、クラウド内のサーバで一元管理しているため、随時参照することができる。

サービスを導入した農家では、収集した情報を、各端末により手元で参照できるため、農産物の生産・管理にかかる工数削減が可能になるとともに、従来、経験や勘に頼っていた作業を数値で確認することで、生産工程の改善や、新しい農業手法への取り組みも可能になる。

両社は、今後、JAちばみどり管内での利用者拡大に加え、富里市農業協同組合(以下、JA富里市)の農家への導入も進めていく。