2010年12月は何かと"特別版"が出回る月である。テレビは特番が増え、雑誌がちょっと厚くなり、折り込みチラシの面積が広くなり……そんなものを見ると年末を感じたものだったが、最近はいつでも"限定""スペシャル"が飛び交っているせいかそのプレミア感は低い。Google検索急上昇ランキングでも正月関連のワードは意外に少ないようだ。そういえば昨年から今年にかけての"年末年始感"は、これまでになく薄かったような……。

2010年12月のGoogle検索急上昇ワード

■PC検索ランキング
順位 ■通常検索 ■イメージ検索
1位 初詣 ランキング 年賀状 ウサビッチ
2位 MHP3 攻略 アマツマガツチ
3位 NASA 発表 夢未さくら
4位 小松千春 COSMONAUT
5位 麻木久仁子 インセプション DVD ラベル
6位 皆既月食 皆既月食
7位 さかな クン シボレー ボルト
8位 大晦日 小松 千春
9位 モンハン 3 攻略 海老蔵 土下座
10位 クラブワールドカップ ウルクスス
■その他の検索ランキング
順位 ■動画検索 ■ニュース検索 ■レシピ検索
1位 笑い飯 さかなクン クリスマス
2位 青木隆治 女子駅伝 酒かす
3位 綾瀬はるか 30代
4位 阿部サダヲ 尾上菊之助 巻き寿司
5位 ボルト 落下 小樽運河
6位 あやまん 朝日杯 FS たくあん
7位 芦田愛菜 蜷川実花 かき鍋
8位 前田敦子 日銀短観 関西風すき焼き
9位 楽しんご 全日本フィギュア ルクエ
10位 少女時代 沢井製薬 スチーマーシリコン
※本データは、Google Zeitgeistのアルゴリズムに基づき、日本における検索傾向を集計したものです。前月から検索量が増加しているクエリを抽出しています。提供/Google

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世は移ろい、正月の習慣も変わるもの

ということで、気分的に失われた年末年始感を取り戻すため、あえて正月関連のワードを中心に採りあげてみよう。総合ランキング1位は「初詣 ランキング」。ランキングとは参拝者数のことであろう。どうせ行くならより人気のある神社に行きたい、という願望の表れなのだろうか。神様に詣でるというより、より大規模な花火大会を探して見に行くのに似たイベント感覚が伺えるようである。まあ、人ごみの多いほうがいろいろ都合が良かったりする場合もあるのだろう、若者たちよ。

ところで実際にランキングを見てみると、1位明治神宮(東京都渋谷区)、2位成田山新勝寺(千葉県成田市)、3位川崎大師 平間寺(神奈川県川崎市)、4位伏見稲荷大社(京都市)で、参拝者数の上下はあれど記録のある限り不動の順位を守っている。では今年はというと、実は発表されていないのだ。これまで全国の神社・仏閣三が日の人出は警察庁が各都道府県警を通じてまとめ公表してきたが、「正確性に疑義があるため」として昨年から取りやめたのだという(読売新聞 1月4日記事)。これにより独自に集計を行っていたランキング上位の神社も多くが公表をやめている。しかし、有名な寺社では数万単位の人が参道に殺到することに変わりはないわけで、今年はイベント会場等もあわせて全国1,500ヵ所、延べ約3万人以上の警察官が雑踏事故防止のために動員された。

正月関連ワードの検索量。「大晦日」と「カウントダウン」は当日になって跳ね上がっている

画像検索も1位だけは正月関連で「年賀状 ウサビッチ」。ウサビッチとはMTV Japanで放送された短編アニメシリーズで、主人公はロシアの監獄に閉じ込められたウサギのキレネンコとプーチンというシュールなコメディ。同作品の年賀状テンプレートが、年賀状サービス「ネットで年賀状」にて提供されていた(2011年の稼働は終了。現在は閲覧のみ)。同サイトはデザインの作成から印刷・投函までをネット上で行うことができるサービスで、ほかにも干支や風景写真、ディズニーやガンダムのキャラクター等のテンプレートを提供。Twitterアカウントやメールアドレスを利用して、住所を知らない相手にも直接住所を聞くことなく発送が可能だ。年賀状の作り方は手書きから家庭用プリンタ中心へと変貌を遂げたが、送り方にも多様な形が生まれている。いずれ普通に年賀状を書いて投函することが"古い習慣"と言われるようになるのかもしれない。

正月はクリスマスに勝てなかった、レシピ検索

今回の動画検索は見事に人名・グループ名が並んだ。「笑い飯」は漫才選手権「M-1グランプリ」において、最後の優勝者となったことで注目された。10回目を向かえ年末の風物詩となっていたM-1グランプリだが、これを最後に終了することが発表されており、笑い飯は最後の優勝者となったわけである。毎年これを楽しみにしていた人にとっては、今年の年末が少し寂しくなるかもしれない。

ニュース検索では12月発表の「日銀短観」が8位にランクイン。1年9ヵ月ぶりに景況感が悪化しているとの判断が出された。大企業製造業を中心に業況判断指数がマイナスとなっており、家電製品のエコポイント制度縮小やエコカー補助金の終了などが影響したと見られている。2010年、企業業績は好調と言われながらも採用や給与は厳しく、最後になってその地盤が相当に軟弱であったことが露呈したというわけだ。

レシピ検索は全体的に冬らしい季節感が見られるものの、1位が「クリスマス」であるのに対して、おせち・雑煮などの正月料理の名前は一つもない。ネットを使わずテレビや雑誌で多くの情報を得られるからなのか、あえて探すまでもないのか、あるいは作る人そのものが少ないのか……。原因はいろいろあるにせよ、ここにも年末年始の希薄化が伺えるようだ。

あえて言えば「鍋」(3位)が年末年始の団欒を思わせるワードだが、7位にはピンポイントで「かき鍋」ご指定。夏には猛暑による養殖への打撃が報道されていたが、売り場では手ごろな価格で大粒のものが見かけられた。かき鍋といっても土手鍋からみぞれ鍋、キムチ鍋など種類は多い。同じ材料も、レシピ検索で様々な味わい方が見つけられるのだ。

かきのみぞれ鍋。かきに片栗粉をまぶして下ゆですると身が縮まないという裏技で、しっかり煮込んでもぷりっと柔らか

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マップル観光ガイド お勧め初詣スポット2011:……初詣を観光として楽しむ方へ。