マイクロソフトは3月29日、間もなくのリリースが予定されている「Microsoft Office 2010」(以下、Office 2010)の企業向け導入支援策について説明した。

Office 2010の導入支援策は、主に「互換性検証」、「トレーニング」、「導入/展開」の3分野で展開される。以下、順に紹介していこう。

互換性検証

マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 Office製品マーケティンググループ シニアプロダクトマネージャー 松田誠氏

上記3つの支援策のうち、互換性検証に関しては、大塚商会、CSK Win テクノロジ、日本システムディベロップメントの3社とともに運営する「Office 導入支援センター」を中心にサポートを行う方針だ。同センターにて互換性情報の集約や検証作業を行うほか、「マクロ互換性ホワイトペーパー」、「レイアウト互換性ホワイトペーパー」、「導入展開ホワイトペーパー」などを公開し、旧バージョンからの移行を推進していく。

検証作業はすでにOffice 2010 RC版をベースに実施しており、移行時に発生する問題件数は、Ofiice 2003からOffice 2007への移行時と比べて、マクロ互換性で約60%減、レイアウトの互換性で約22%減という結果だったという。特にレイアウト互換性に関しては、「問題件数がわずか14件」(マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 Office製品マーケティンググループ シニアプロダクトマネージャー 松田誠氏)と言い、影響範囲の確認がすぐにでもできるレベルになっていることが強調された。

また、3種類の互換性ホワイトペーパーについては、「Office 2007から提供していたものの、そちらはMS社内の検証結果をまとめた内容になっていた。今回はパートナーとともに検証行っているため、内容も以前のものより現場のニーズにマッチしたものになっている」(松田氏)という。さらに、「発売から60日以内に提供をはじめる」(松田氏)と続け、早期公開を明言した。

3種類の互換性ホワイトペーパー

これらに加えて、Office 2010に関してはパートナーから独自の検証サービスも提供されるという。松田氏は、各社のサービスについて、「独自の検証ツールと現場で培ったノウハウが活用されるため、迅速かつ詳細な検証を実施してもらえる」と説明。過去には、通常、手作業で1年程度かかるような大量のマクロファイルの検証作業を「10日で終えたということもあった」と有用性を強調した。

トレーニング

トレーニングに関しては、初級者向けの「Office 2010 クイックガイド」、各アプリケーションの操作方法や活用ノウハウをまとめた「Office 2010 トレーニングビデオ」、新機能の活用法を紹介する「Office 2010 TIPS集」を用意する予定だ。

提供されるトレーニングコンテンツ

マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 Office製品マーケティンググループ 部長 田中道明氏

クイックガイドは、最低限知っておくべき内容を収録した説明書。わかりやすさを重視しており、各アプリケーションの使い方がそれぞれA4サイズ1ページでまとめられているという。一方、トレーニングビデオとTips集は、同社のWebサイト「Office トレーニングセンター」や、DVDとして提供される「Office 2010 トレーニングキット」を通じて公開される。

なお、トレーニングキットは「編集や再配布が自由に行える」(松田氏)と言い、ロゴを変えて顧客に配布したり、必要な部分だけイントラネット内に掲示したりといったことが可能だ。このトレーニングキットもOffice 2007から配布していたが、「Office 2007では配布を開始するまでに、製品出荷から1年半も経ってしまった。今回はその反省を活かし、出荷開始後すぐに配布を開始する」(松田氏)という。同社のイベントで配布するほか、Webサイトからも郵送を申し込めるようにする予定で、「Office 2007のときの2万枚を超える数を配布する」(松田氏)計画になっている。

導入/展開

導入/展開という点では、同社のアプリケーション仮想化ソリューション「Microsoft Application Virtualization」(以下、App-V)との連携によるソフトウェア配布工数削減が強調された。

App-V向けの強化ポイント

App-Vは、クライアント上で実行するアプリケーションをサーバから配信する技術。アプリケーション情報や設定情報はディスクに書き込まれるため、オフラインでもすべての機能が有効。Windowsメニューから起動することも可能で、ユーザーはあたかもローカルにインストールしたような感覚でアプリケーションを使用できる。

また、クライアント上で同一アプリケーションの異なるバージョンを同時に実行させることも可能で、アプリケーションをOSから切り離して運用できるようになることから「Application Virtualization」という名前が付けらている。

App-Vを導入すると、Officeアプリケーションの導入作業は、サーバへのインストールを1度行うだけ。「従来のように1台1台インストールしたり、ユーザーにインストールさせたりといった作業が不要」(松田氏)になる。

また、旧バージョンの消去もサーバでプロパティ画面を開いて、「有効にする」というチェックボックスを外すだけ。「仮に、サービスパックを適用して互換性に問題が出たときも、サーバ側で設定を変更するだけで全ユーザーの環境が元に戻る」(松田氏)という。

App-Vの管理画面。クライアントからアプリケーションを削除するのも「有効にする」というチェックボックスを外すだけ

上のような画面でチェックを入れるだけで、クライアント上の起動場所もコントロールできる

Office 2010では営業支援ツールも提供

マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 Office製品マーケティンググループ シニアプロダクトマネージャー 林達郎氏

また、今回の説明会では、「Microsoft Outlook 2010 with Business Contact Manager」(以下、BCM)というプロダクトも紹介された。

BCMは、Outlook 2010のアドインとして提供される顧客管理ツール。20名程度の企業や部署で営業情報を共有する際などに有効とされている。使い慣れたOutlookのインタフェース上で利用できる点が最大の特徴で、「大企業での利用を前提とした一般的なCRMとは異なり、トレーニングが不要で、初期投資も抑えられる」(マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 Office製品マーケティンググループ シニアプロダクトマネージャー 林達郎氏)という。

BCMでは、大きく「連絡先管理」、「営業」、「マーケティング」、「プロジェクト管理」の4つの機能を提供する。

BCMの主な機能

これらのうち「連絡先管理」では、企業名、担当者名、連絡先などの一般的な情報のほか、Eメール メッセージや通話記録、会議の内容などのコミュニケーションの履歴も管理することができる。また、「営業」では、案件の生成から成約までの各セールスステージごとに営業商談を追跡可能なうえ、案件が成約する確度を入力する欄も設けられている。

BCMの営業の画面

「マーケティング」では、電話、マスメール、DMの記録を管理できるほか、Outlook内で既存顧客の購入履歴などを参考にコンタクトリストを作成して、ニュースレターを配信する機能を搭載。「プロジェクト管理」では、タスクの開始日、終了日、および完了状況などを参考にプロジェクトの進捗状況を視覚化できるうえ、関連するメール、会議、ドキュメント、メモ、タスクを紐付けて管理することが可能になっている。

BCMのプロジェクト管理の画面

なお、BCMは、他国ではOffice 2003から提供済み。今回、Office 2010のリリースに合わせて初めて日本語版が提供されることになった。Office Standard 2010もしくはOffice Professional Plus 2010で利用可能で、現在、β版が公開されている。