新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、固体高分子形燃料電池(PEFC)プロジェクトの中核的役割を担う「山梨大学燃料電池ナノ材料研究センター」が本格稼働を開始したことを明らかにした。

燃料電池ナノ材料研究センター外観(建物右側が実験棟、左側がオフィス棟)

燃料電池自動車(FCV)は、省エネルギーとCO2排出量の削減を実現する次世代自動車として期待されており、ロードマップとしては2015年の一般ユーザへの普及開始、2020年以降の本格的普及が掲げられているが、電池のコストダウン、耐久性の向上などが課題として残されている。

FCVと水素ステーションの普及に向けたロードマップ

NEDOでは、これらの課題解決のため、PEFCの技術開発を実施しており、今回開設された同センターは、中核となる存在として、山梨大学の渡辺政廣教授をプロジェクトリーダーとし、燃料電池の「電極触媒、電解質膜など」の新材料の開発および試作、解析、評価試験を一体的に推進していくものとなる。

FCV普及に向けた各種課題

研究の推進にあたっては、渡辺教授の下に、今後、米国、ドイツ、フランス、韓国、中国の5カ国から9名の研究者を含めた30名の研究者が国内外から結集する予定となっており、国際共同研究拠点としての役割も目指すこととなる。

また、実験棟は、防振および磁気漏洩シールドが施されているほか、クリーンルーム、クリーンリフトによる防塵環境が構築されているほか、電子顕微鏡やX線光電子分光装置、核磁気共鳴などの装置が設置される計画。

加えて、山梨県および山梨大学との協力により、実験棟に併設されるオフィス棟にて、若手研究者の育成に向けたセミナー、講演、研修などが行われる予定となっているほか、山梨県としてオフィス棟にて産業界などとの連携による実用化研究が進められる計画となっている。