富士通、沖縄セルラー、東京海上アセットマネジメントはこれまで、沖縄県石垣市野底エリアにおいて、自然保全活動を推進しているエコツアーふくみみ、および石垣市立野底小学校と協力しウミショウブ(海草)の藻場再生に取り組んできた。富士通は11月7日、石垣市野底エリアが環境省の「自然共生サイト」に県内で初めて認定されたことを発表した。

  • 現地の様子

    現地の様子

活動内容

石垣島野底崎では、10種近いアマモ類が観察されている。特に、環境省および沖縄県のレッドリストで絶滅危惧II類に分類されている希少種ウミショウブの分布の北限とされる。近年、ウミショウブがアオウミガメに捕食され絶滅の危機に瀕しており、地元住民を中心にアオウミガメの食害を防止する防護柵を設置するといった保全活動が行われてきたが、減少ペースが加速していたため保全環境の強化が求められていた。

そこで、沖縄セルラーなどの民間企業が参加して防護柵を新設。さらに陸上でのウミショウブの育成と防護柵内への移植、保護エリアでの生育状況の把握のため、水中ドローンを活用した海洋環境モニタリングを実施している。モニタリングなど保全活動には地元住民や近隣小学校の児童も参加する。

評価のポイント

野底崎は石垣島で唯一のウミショウブ群生エリアであり、アオウミガメによる食害が深刻化する前の2010年頃までは、ウミショウブ以外にも10種近いアマモ類が見られるアマモ場として知られている。水質浄化機能やブルーカーボン貯留機能なども期待される。

そのため、ウミショウブ増殖による自然環境の復旧と保全が実現すれば、ウミショウブ群生期に匹敵する生物種および生物量の回復も見込めるという。

また、野底小学校の児童とともに生物多様性保全活動を実施していることから、生物多様性教育および自然保全文化の構築を促し、地域における人と自然との関わり方を未来世代に伝えていくことにも貢献している点が、評価につながったという。

さらに、将来的には増殖したウミショウブにより貯留できた温室効果ガス量を計測し、「Jブルークレジット」として申請する予定だとしている。

  • 授賞式

    授賞式