米IBMは現地時間7月13日、米Green500.orgが主催する世界のスーパーコンピュータにおける電力効率ランキングである「Green500」の2009年6月分において、同社のスーパーコンピュータが世界で最もエネルギー効率の高いと評価されたと発表した。

同ランキングの1位はポーランド・ワルシャワ大学数理研究所のスーパーコンピュータであり、同社のBladeCenter QS22を基盤にしているという。同コンピュータのエネルギー効率は1Wあたり536メガフロップス(毎秒百万回の浮動小数点演算)以上とのこと。

また20位までに、同社のハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)技術により構築したスーパーコンピュータが18台入っている。同ランキングには天文科学、天気予報、医薬品研究など各種分野で仕様されている世界中のスーパーコンピュータが含まれており、同社のスーパーコンピュータは100位までのうち57件を占めたという。

同社によると、世界で最初にペタフロップスの性能を実現し現在も世界最速という米国家核安全保障局(NNSA)ロス・アラモス国立研究所の同社製スーパーコンピュータは、1Wあたり444メガフロップスで同ランキングの4位だった。また世界で2番目に速いという米Crayのスーパーコンピュータは同ランキング90位であり、1Wあたり152メガフロップスだった。

Green500 TOP10

Green500 Rank MFLOPS/W Site Computer Total Power (kW) TOP500 Rank
1 536.24 Interdisciplinary Centre for Mathematical and Computational Modeling, University of Warsaw BladeCenter QS22 Cluster, PowerXCell 8i 4.0 Ghz, Infiniband 34.63 422
2 458.33 DOE/NNSA/LANL BladeCenter QS22/LS21 Cluster, PowerXCell 8i 3.2 Ghz / Opteron DC 1.8 GHz, Infiniband 138.00 61
2 458.33 IBM Poughkeepsie Benchmarking Center BladeCenter QS22/LS21 Cluste PowerXCell 8i 3.2 Ghz / Opteron DC 1.8 GHz, Infiniband 138.00 62
4 444.94 DOE/NNSA/LANL BladeCenter QS22/LS21 Cluster, PowerXCell 8i 3.2 Ghz / Opteron DC 1.8 GHz, Voltaire Infiniband 2483.47 1
5 428.91 National Astronomical Observatory of Japan GRAPE-DR accelerator Cluster, Infiniband 51.20 277
6 371.67 ASTRON/University Groningen Blue Gene/P Solution 94.50 124
7 371.67 IBM - Rochester Blue Gene/P Solution 126.00 84
7 371.67 IBM Thomas J. Watson Research Center Blue Gene/P Solution 126.00 85
7 371.67 Max-Planck-Gesellschaft MPI/IPP Blue Gene/P Solution 126.00 86
7 371.67 Bulgarian State Agency for Information Technology and Communications (SAITC) Blue Gene/P Solution 63.00 245

なお同社は、最も計算負荷の高い処理における1Wあたりの性能を含めエネルギーの効率を高めることは、同社のシステム開発において中核となる設計理念であるとし、同社ではGreen500のリストに挙げられたBlue GeneやPower Systems、iDataPlex、BladeCenter、ハイブリッド・クラスターなど、広く活用できるスーパーコンピュータを提供しているという。