「Google Analytics」との比較
Yahoo!アクセス解析がリリースされた際、誰しもが思ったのはGoogle Analyticsとの違いだろう。そこで筆者サイトに両方のコードを埋め込んだ状態で比較してみた。Yahoo!アクセス解析については埋め込んでから数日しか経過していないため一概には言えないが、Yahoo!アクセス解析のPVのほうが若干多いように見える。また、Google Analyticsがある程度の時間をかけたバッチ処理であるのに対して、Yahoo!アクセス解析はほぼリアルタイムにデータが反映されている。このスピードの違いは大きな利点になりそうだ。
Google Analyticsでリファラーを見ようと思うと、ドメイン別からドリルダウンしてみる必要がある。しかし、Yahoo!アクセス解析の場合は一覧でURL別に見ることができる。これはGoogle Analyticsの元が、Urchinという企業向けのアクセス解析ソフトウェアであることに起因するのかもしれない。取得できるデータに大差はないが、粒度の高さはYahoo!アクセス解析のほうに分があるようだ。
また、それはエクスポート機能にも現れる。GoogleはPDF/ XML/ CSV/ TSVと対応形式が多いのに対し、Yahoo!アクセス解析はCSVとPDFしかない。ただし、前述のとおり最大1,000件まで一度に出力できる。この件数であれば必要なデータをすべて取得して、自分の好みに整形することも可能だろう。なお、Google Analyticsの場合は最大500件までのようだ。
逆にGoogle AnalyticsではWeb APIが公開されておりデータの取得が容易になっている。それに対し、Yahoo!アクセス解析ではWeb APIは公開されていない。Web APIがあれば自動化も容易に行えるようになることを考えると、Google Analyticsのほうがシステマチックに運営するのには向いていそうだ。また、Google Analyticsは複数人での共有設定ができるが、Yahoo!アクセス解析ではそのような機能は用意されていない。これも企業向けと個人向けの違いかもしれない。
まとめ
Yahoo!アクセス解析は、開発されたばかりのソフトウェアというわけではない。すでにしばらく運用されたうえで投入されたサービスだ。そのため細かなニーズへの対応や修正も行なわれていると考えられる。実際、十分と納得できるくらいのデータは取れるようになっているし、効果測定に必要なマーケティング機能も間もなく登場予定だ。これが追加されればGoogle Analyticsとのシェア争いが活発になるはずだ。
最近、アクセス解析にはリアルタイム性が強く求められるようになっている。サービスリリース後のパブリッシング測定や新機能の利用度合い、記事の参照回数など、いますぐに知りたいと思う情報は多いはずだ。膨大なアクセスログの中から有用なデータを見つけられるかどうかは解析エンジンの性能と、閲覧者の分析にかかっている。今のWebサイトの状況はYahoo!アクセス解析が教えてくれる、皆さんはそのデータをいかに活かすか考えていただきたい。
著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。