日本HP 執行役員 エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 松本芳武氏

日本ヒューレット・パッカードは5日、HP製のサーバ/ストレージを統合管理するソフトウェア「HP Insight Dynamics-VSE」を発表した。サーバOSや機種を問わずに同一GUI上から物理/仮想リソースを分析、最適化する管理ツールで、同社が提唱する「Adaptive Infrastructure」の根幹を成す基盤ソフトウェア。日本HP 執行役員 エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括の松本芳武氏は「今年最もリリースを楽しみにしていた製品のひとつ。ProLiantやIntegrity、BladeSystemなど、すべてのHPサーバをアンブレラとして扱えるソフトウェアで、HPが提唱する"Adaptive Infrastructure"と"Next Generation Datacenter"の中核に位置づけられる」とし、今後、同社が発表するサーバ/ストレージ製品はInsight Dynamics-VSE下での利用を前提に開発されるという。

HP製のサーバ/ストレージ製品には、購入時に標準で「HP Systems Insight Manager」という統合インフラ管理ソフトウェアが付いてくるが、今回発表されたInsight Dynamics-VSEは、Insight Managerがもともと備えている異機種統合管理機能や仮想化サポートをさらに拡張した製品。仮想化環境(VMware)での使用を前提とした設計になっている。

最大の特徴は、仮想サーバと物理サーバを切り離して管理し、それぞれの固有情報を自在にマッピングさせる「Logical Server Manager」機能。「1種類のサーバだけで構成されているようなデータセンターはない。さまざまな機種が混在する中で、ハード/ソフトともに"適材適所"のリソース管理を行う必要がある」(松本氏)ことから、サーバ間の自由なプロビジョニングを実現している。ユーザは「物理サーバか仮想サーバか」を意識することなく、「論理サーバ」としてサーバ環境を扱うことができる。GUI管理画面により、論理サーバの移動などもドラッグ&ドロップで可能だ。

また、"データセンターの省電力化"にも対応すべく、消費電力のキャパシティプランニングを支援する機能「Capacity Advisor」も備える。たとえば新規に仮想サーバを立ち上げる際、管理下のすべてのサーバから必要なキャパシティを備えた物理サーバを、5段階評価(5-star-rating)を付けて選び出すことができる。分析においては、過去の運用履歴情報や、消費電力、CPUやメモリの性能、ネットワークやストレージの帯域、などの情報をもとにリアルタイムで行われる。「長期間にわたる分析/最適化も重要だが、日々の運用においては時・日単位で管理を行う必要がある。Insight Dynamics-VSEによるコンソリデーションは、とくにエネルギーの効率化計画に効果があり、データセンター運用の課題を40%軽減できる」(日本HP エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ソフトウェア・プロダクト マーケティング部 部長 赤井誠氏)という。

HP Insight Dynamics-VSEの管理画面。オレンジで囲まれた部分が物理サーバ(HP BladeSystem)を示す。ここではエンクロージャが2台ある状態で、ビュー設定で物理サーバと仮想サーバをすべて表示させるようにしている。。

新規サーバ立ち上げに伴い、必要な物理サーバを選び出したところ。最適なサーバに5つ星がついている

「Capacity Advisor」機能を使ったコンソリデーションの結果。可視化されているので、最適な環境がひとめでわかる。

各ハードウェアのプロファイルもリアルタイムで表示可能

価格は、HP ProLiantサーバ向けライセンス製品が15万7,500円から。出荷開始は6月下旬。